GEはある意味で、究極的なデジタル変革の成功例であるが、実際に何をどう変えるべきかの絶対解はなく、その企業の置かれている競争環境や、その企業の得意・不得意分野、その企業の組織風土などで異なる固有解が存在する。ダイエットをする場合に、その人のライフスタイルや性格、体質によって適した方法が異なるようなものだ。
とは言え、本格的にダイエットをしようとする場合、取り組むべきことは何か。その中で、自分は何ができて、何ができていないかを把握できる診断書が手元に置いてあることは有効だ。数ヶ月や数年かかる長い旅路では、迷わないための地図は欠かせない。デジタル変革も、定着化することをゴールとするならば、やはり早くても数年は要する。ここでは、筆者がデジタル変革の取り組みを診断する際に活用している「カルテ」を簡単に紹介しよう。
この診断カルテは、デジタル変革に関する取り組みが表層的な施策の実施に留まらず、体質転換につながる変革推進のポイントを押さえているかを把握するためのものである。変革を3つのステージ(始動・着火・定着)に分け、各ステージで見落とされがちな要素を7つの視点(目的・業務範囲・中長期戦略・経営コミット・業務プロセス・組織/評価・マインド)と、それに基づく14の質問リストに分類している。このカルテの質問リストに沿ってヒアリングすることで、その企業の取り組みに関して、何ができていて何ができていないかの全体像を把握することができる。
くどいようだが、デジタル変革が求められるのは、一部のエクセレントカンパニーだけではない。ITサービスのみを提供する「IT企業」が死語になりつつ昨今、それと並行してデジタル変革は大半の企業で求められるようになる。
次回以降、デジタル変革に実際に取り組んでいる国内外の企業ケースを取り上げ、デジタル変革の現場で起こっているリアルな課題と、その処方箋を紹介していく。
村澤典知
戦略コンサルタント。インテグレート執行役員。
一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車、博報堂コンサルティング、A.T.カーニーを経て現職。国内大手企業を中心に、成長戦略の策定、新規事業開発、新商品/サービス開発、デジタル変革、マーケティング組織再編等、10年間で約100に及ぶプロジェクトに従事。「カスタマーセントリック思考」、「最新マーケティングの教科書2016」等、執筆多数。
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