ロバーツ氏 カラーツールも強化しています。これまでのハイビジョンではITU-R BT.709という色域をカバーしてましたが、4K・8K時代ではHDRやITU-R BT.2020と呼ばれるカラースペースが登場しました。こうした新しい色域を管理できるよう、スコープ機能を搭載しています。新しいカラースペースに対応していないモニタでも、信号ベースで制作することができるのです。
また、HDRにより、0~100だった輝度情報から1000や1万まで管理できるようになりました。今年はHDRによるさまざまな作品が作られるでしょう。AmazonやNetflixも秋のリリースに向けてHDR番組を制作中です。HDR環境では、色と明るさが重要になってきますが、編集作業では、クリエイティブの光や色の調整がたくさん発生してしまいます。そこで、今回シンプルな「ルミトリパネル」を用意しました。
古田氏 また、基本的な補正項目にはなりますが、HSLセカンダリという新しい項目を追加しました。映像の中の特定の色成分だけを変えることができるもので、例えば、「ジャケットの色をもう少し鮮やかに」といった場合は、ジャケットの色のみを抽出して、色を任意で選ぶことができます。
フォード氏 オーディオ機能にも、「Adobe Audition CC」と同等の機能を備えた「エッセンシャルサウンドパネル」という機能を用意しました。オーディオの専門知識がない動画編集者でも使いやすくしており、スライダーを調整するだけで、5~6のパラメータを調整しています。Premiere ProとAuditionを行き来せずとも、Premiere Pro内で編集が完結するのです。
フォード氏 今回のアップデートでは、パフォーマンスとクオリティアップを焦点を置きました。まずは、プレビューのリアルタイム再生を可能にしたことです。RAMにキャッシュしつつヘッドと音が同期してスムーズに再生することができます。ほかには、3DグラフィックスツールのCinema4Dのインポーターも改良されています。
また、人間の表情や動きに合わせてキャラクターをリアルタイムに動かすアニメーション作成機能「Adobe Character Animator」もアップデートしています。すでにプレビュー版を触った人の多くからは、パペット(キャラクターのベース)の制作をもっと楽にしてほしいという声がありました。このため、Character Animator側のコンポーネントと、Photoshop側のコンポーネントを連動させることで、Photoshopのレイヤーベースでパペット項目の編集が可能になりました。
ロバーツ氏 Character Animatorは、我々の想像以上にアニメ制作現場で使われております。リアルタイムでのアウトプットアニメーションをサポートしたため、米国では、シンプソンズのキャラクターが生電話に応対するコーナーや、バーチャルのスカイプキャラクターで利用されています。通常であれば数カ月かかるようなアニメ制作がリアルタイムでできるようになったのです。また、ディズニーやカートゥーンネットワークとも密に連携を取っています。
古田氏 日本ではあまり普及していません。日本のアニメ制作では、さらにAfter Effectsで加工する工程があるためです。ただし、テレビ局からライブで使えないかという問い合わせが2015年の発表から非常に増えました。シンプソンズでの採用から、アニメ制作会社からの問い合わせもあります。
ロバーツ氏 3Dについては、いくつかテクニックを駆使すればシミュレーションは可能ですが、現時点では2D向けのシステムです。また、アドビでは、3Dのキャラクターモデルなどを展開するMixamoを2015年に買収しましたが、ハイエンドの商用環境にそのまま当てはめるのは、現時点ではまだ難しいです。
古田氏 After Effectsのプラグインは出していますが、Character Animatorでは今のところ未定です。
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