スカパー、第1四半期は減収増益--放映権移動のJリーグ「来季はまだ白紙」

 スカパーJSATは、2017年3月期第1四半期(4~6月)の連結業績を発表した。「スカパー!プレミアムサービス」の累計加入者数減少や宇宙・衛星事業における収入減などにより、売上高は前年同期比3.4%減の397億700万円、営業利益は7%増の62億6600万円の減収増益となった。有料多チャンネル事業の費用減などが増益要因になっている。

2017年3月期第1四半期業績概要
2017年3月期第1四半期業績概要

 有料多チャンネル事業は、市場が成熟しつつある一方、動画配信サービスの登場より、コンテンツ獲得に加え、加入者獲得の面でも競争が激化している。スカパー!でも、新規加入件数が、前年同期比の12万件から8万6000件、純増数は同2万3000件から9000件のマイナスに転じるなど、厳しい状況が続く。この事業の売上高は同8億円減の300億9500万円で、スカパー!プレミアムサービスの視聴料収入減が響いた。

 今後は、4K専門チャンネルを「スカパー!4K映画/総合/体験」と3チャンネル体制にした増強したことに加え、ソフトバンク、NTTドコモとの協業により、加入者獲得窓口を拡大。10月4日には世界初となる4K HDR放送もスタートする。

スカパーJSAT代表取締役社長である高田真治氏
スカパーJSAT代表取締役社長である高田真治氏

 ただし、人気コンテンツであるJリーグの放映権が、来季から英パフォームグループに移るなど懸案事項も抱える。スカパーJSAT代表取締役社長である高田真治氏は「2017年度以降のプログラムに関しては白紙。現時点でビジネスに影響が出ているとは思っていない。Jリーグに関しては2007年から全試合生中継という、かつてない形で放送に取り組んでいた。その実績が一定の契約者から評価を得ているのは事実」とコメントした。

 8月には、IPリニア配信チャンネルを38チャンネルにまで拡大するなど、「スカパー!オンデマンド」に力を入れる。チャンネル数は2016年秋以降50チャンネルへと増強するほか、スマートテレビでのアプリ展開なども2017年を目指し展開する予定。2016年度末には、100万件の登録者を目指す。

 宇宙・衛星事業は、海外顧客の利用減少などにより売上高が同6億9000万円減の126億2600万円。4月に発生した熊本地震では、可搬型VSATを使用した緊急衛星回線を構築、提供するなど、被災地の通信回線確保に寄与したという。

 今後は産業用ドローン開発で国内最大手であるエンルートの株式取得により、衛星ネットワークによるドローン市場に取り組んでいくほか、山岳地域における衛星通信を介したWi-Fi接続サービスなどに着手。Wi-Fi接続サービスは北アルプスの山小屋とその周辺地域でのWi-Fi接続サービスを提供することで、天気情報の取得や緊急連絡手段などのラインラインとしての活用を見込む。

 スカパーでは、防衛省PFI事業衛星1号機の打ち上げ遅延に伴い、6月17日に通期業績の下方修正を発表。売上高は前回発表時から12%減の1950億円、営業利益は同6.7%減の210億円、経常利益は同10.9%減の205億円とした。

セグメント別連結業績の推移
セグメント別連結業績の推移

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