Rettyでは、急増するユーザーや海外展開を踏まえ、インフラ周りの大幅アップデートとして「Retty Global Platform」を計画している。同社ではこれまでAmazon Web Services(AWS)をメインにインフラを構築していたが、今回の新プラットフォームでは、Microsoft Azure(Azure)、Google Cloud Platform(GCP)、AWSを1つのプラットフォームで使用できる。この取り組みについて、RettyCTOの樽石将人氏にも話を聞いた。
Rettyでは、これまでAWSの東京リージョンを使ってサービスを展開してきました。ただし、今後グローバル展開するにあたり、欧米に進出するなら欧米にリージョンがあるサービスなど、AWSが持っていないリージョンで展開するクラウドプラットフォームの必要性が出てきたのです。また、機能が拡充してきたGCP、Azureを現場のエンジニアが取り入れたいといった要望もありました。
また、きちんと管理する仕組みを作れば、マルチリージョン、マルチクラウドを自分たちで運用できるようになるというもくろみもありました。そこで、マルチクラウド基盤を自動で構築するオーケストレーションツールを開発しまして、再現性のあるプラットフォーム管理を可能にしました。
これまでのRettyでは、手で構築していたのでどこに何があるのか棚卸し作業が多くなり、新しいことを実践するリソースが足りなくなっていたのです。なお、システムの変更点はすべてGithubで一元管理しています。
オーケストレーションツールには、「Terraform」というオープンソースのツールを使用しています。もちろん、そのままだと使用できませんので、1万5000行におよぶ追加開発を実施しています。
Terraform自体は少しずつ使われ始めていて、ミクシィでも使用されていると聞いていますが、既存の基盤が大きいでしょうからメインを置き換えるまでには至っていないと思います。Rettyでは、スケールが小さいうちに全面採用を進めたので、メインのツールとして使うことができました。
今後も国内のメインシステムはAWSを使用する予定です。ただし、AWSのアジアリージョンは、東京とシンガポールのみで、それ以外の国からアクセスするとレスポンスが遅くなってしまいます。そのため、例えば香港にリージョンを持つAzureをエッジサーバとしてキャッシュさせる運用も、このプラットフォームを使用すれば自動で構築することができるのです。
また、それぞれのプラットフォームが持つ機械学習サービスを使い分けられるメリットもあります。AWSのマシンラーニングサービスを使うこともあるでしょうし、GPU付きのAmazon EC2を使うこともあるでしょう。また、エンジニアの間で、GCPのデータ分析分野のマネージドサービスが流行っており、そういったものも活用できます。
今回、機械学習用にオンプレミス環境も構築しています。そのために、ハイエンドGPUを搭載したマシンを秋葉原で購入しまして、現在3台で構成しています。OSはUbuntuで動いています。Geforce GTX 1080も導入を考えて抽選会に参加したのですが外れてしまいました(笑)。今、Geforce GTX 750から980までのベンチマークを取っているところです。
外部提供となると、品質管理も重要になるので細かいところでの作業が増えてくるでしょうし、そのための大量のコードも必要になります。自分たちのサービスのために開発していますし、あくまで自由な環境を作り上げるのが狙いです。
エンジニアに関しては当面は東京のみに拠点を集中する予定です。もちろん、現地へユーザーを見には行くのですが、Pingすれば届きますので。ただし、時差が正反対の場所でユーザーが増えた時など、東京が深夜の時に障害対応する必要が出てきた場合には、運用部隊を別の国に置くことは十分考えられます。
現在、規模よりもデータ分析関連のPDCAサイクルを回す方向に注力しています。今後、5000万ユーザーを超える規模に到達すれば、アーキテクチャ刷新の話も出てくるでしょう。また、エンジニアの採用に力を入れており、こうした面白い取り組みなども実施していますので、SIerなどで「いろいろやりたいことがあるけどできていない」方などに来てほしいと思います。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
トラディショナルからモダンへ進化するBI
未来への挑戦の成功はデータとともにある
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス