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“浅い思考”に時間を取られてはいけない--「Evernote」のクリス・オニールCEOに聞く - (page 2)

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現代のナレッジワーカーは、ディープシンキングができない

――「ユーザーの思考を支援する」というのは、Evernoteの今後のプロダクト価値の大きなキーワードとして掲げられています。その意図は何でしょう。

 ユーザー個人の「アイデアを思考する」という能力を引き出すことは、現代のナレッジワーカーにとって、特に意味を持つものだと考えています。今は情報過多の時代です。またオフィスでは「コラボレーション」という言葉のもとに、SNS、チャット、メール、会議などによる“浅い思考活動”が1日の80%以上を占めている状況です。本来、ナレッジワーカーが行うべきディープシンキング(時間を掛けてじっくりと思考すること)による「ディープワーク」ができなくなっているのです。

 Evernoteが支援したいのはこのディープワークであり、このニーズはかつてないほど重要になってきていると考えています。ナレッジ経済においてディープワーク(を支援することは)はキラーサービスであり、Evernoteはその領域において1番であると考えています。

――確かに、テクノロジはビジネスやライフスタイルに「効率」という価値をもたらした一方で、効率を重視しすぎるがゆえに、限られた時間を埋めるひとつひとつのことが軽薄になってしまったのではないかと感じることもあります。テクノロジによって効率がもたらされた結果、じっくり考える時間、自分の気持ちを解放して自由に考える時間は減ってしまうという矛盾が生じているのではないでしょうか。

 今のビジネスシーンにおいて、組織のたこつぼ化を解消したり、企業や国を横断してビジネスを進めたりするためにも、コラボレーションというキーワードは重要な価値であり、そこから優れたアイデアが生まれることもあります。

 しかし、浅い思考レベルの仕事に1日の大半が取られると、私たちが持つ“考える力”が十分にビジネスの中で発揮できないのではないでしょうか。実は、企業にとって価値のあるアイデアを生み出す人材は3~5%しかいないというのが実情であり、大半の社員は膨大な情報ノイズの中でディープシンキングができていないのです。

将来のために、改めて自分たちに投げかける“問い”

――こうしたこれからのプロダクト戦略を元に、次の1年をどのような姿勢で臨むのでしょうか。かつて(現会長の)フィル・リービン氏は将来的な目標としてIPOを掲げていましたが、今後の目標は。

 まず、今は近い将来のIPOや資金調達に特にフォーカスを当てて考えているわけではなく、逆にそこから解放されることで、引き続きチームビルディングや製品・サービスによるユーザーディライトの創出に注力をしていきたいと思っています。

オニール氏

 次の1年を考える上で重要なのは、いくつかのことを自分たちに問う必要があるということです。ひとつは現在2億人いるユーザーをさらに1億人増やすためには何をしなければならないのか、どのようなパートナーシップを構築する必要があるのかということ。もちろん、すぐに1億人ユーザーが増えるというわけではありませんが、将来を見据えて今Evernoteが何をすべきかを考えていく必要があります。

 もう1つは、ユーザーエンゲージメント。2億人のユーザーに習慣としてEvernoteを利用してもらうためには何が必要かを考えることです。ご存知の通り、ユーザーの時間は限られています。しかも、ユーザーは自分でアプリを自由に選んで利用することができます。そうしたユーザーの限られたリソースの中で、より多くの時間をEvernoteの利用に割いてもらうために、私たちが何をする必要があるのかを考えていきたいです。

 ユーザーの利用頻度や継続率などの指標を見ながらユーザーエンゲージメントを考え、それを私たちの製品開発の方向性やビジネスモデルの検討に生かしていきたいです。ちなみに、私たちは“Moon Shot”という壮大な目標を立てています。それは、現在は6億時間というユーザーの年間利用時間を10億時間まで伸ばすというものです。

 最後に、売上をさらに伸ばしていくことでキャッシュフローを健全にするためには、どうすれば良いかということです。あくまでも、お金を儲けるのはサービスを改善してポジティブなユーザー体験を生み出すためであり、それが、私たちがユーザーに対して負っている当然の責任です。同じく、収益を生み出すことで、私たちが自分たちの力でEvernoteを持続可能な企業にしていくことは、Evernoteを使っているすべてのユーザーに対して負っている責任であると考えています。

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