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フジテレビが“競合”のVRに参入する狙い--グリーとの業務提携は「最高の補完関係」

佐藤和也 (編集部)2016年07月01日 08時30分
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 フジテレビジョン(フジテレビ)とグリーは6月30日、バーチャルリアリティ(VR)コンテンツ創出プロジェクト「F×G VR WORKS」の展開にあたり、記者発表会をお台場にあるフジテレビ社内にて行った。

 両社は5月に、VRに関するコンテンツ制作や配信、プラットフォーム構築を含む、サービスおよび事業開発に向けた業務提携を発表している。

フジテレビのVR事業参入に「このチャンスを逃すわけにはいかない」

  • フジテレビ常務取締役の大多亮氏

 発表会冒頭で登壇したフジテレビ常務取締役の大多亮氏が、業務提携とVR事業参入への経緯を説明。もともと大多氏は昨今のVRに関する話題は把握しつつも、将来性については否定的だったと振り返る。そんな折りにグリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏に誘われ、VRコンテンツを実際に体験したときに、映像の力と没入感に魅了されたという。そのときにビジネス的な広がりが持てること、そして映像が映し出されるメディアとして「このチャンスを逃すわけにはいかない。強迫観念にも似た思いがわき上がった」と語る。

 続けて「我々には、エンターテインメントや報道、スポーツなどの映像コンテンツを作ってきた強みがあり、制作力が財産。これを生かせば、いままでにないコンテンツが作れるのではないか。VRコンテンツはまだこれからでもあるため、先行者メリットも得られるのではないか」とVR事業参入の狙いを語り、VRにおける強いコンテンツファクトリーになりたいという思いも語った。

  • グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏

 田中氏も登壇し、VRのテーマにおいて映像を含めたコンテンツの中身がこの先問われる流れのなかで、グリーとしてはゲームなどの制作を行っているが、1社だけでは難しいと思ったところで大多氏に声をかけたという。これまでVRの時代が来るといわれていても、懐疑的だった歴史があることに触れつつ「今回は今までと違う流れがきている。誰よりも早く参入して、新しい時代を作っていくのが私たちの使命」と意気込みを語った。

 後の質疑応答のなかで、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)型のVRデバイスでは、テレビの視聴者との時間の奪い合いになるのではという質問に対して、大多氏は「テレビは過去、録画機器やDVD、映画など競合の歴史を歩んできた。そのなかでフジテレビはイベントや映画事業を行っている。競合する領域でもイチはやく進出することで、『フジテレビは新しいことをやる』というブランドイメージを構築することが大事」との見解を示す。また、制作力の低下こそが危惧するべきポイントとし、視聴率の低下を気にするよりは、VRコンテンツの制作を通じてテレビ番組へのフィードバック、関連番組の創出などを行うほうが、盛り上がる可能性があるとも付け加えた。

業務提携は「最高の補完関係」。VR報道番組の配信展開も

  • フジテレビコンテンツ事業局長の山口真氏

 フジテレビコンテンツ事業局長の山口真氏は、フジテレビの「企画・キャスティング」「映像制作実績」「リアルプロモーション」、グリーの「アプリ開発力やVR開発実績」「デベロッパーとのリレーション」「オンラインプロモーション」とそれぞれの強みを説明し、両社の業務提携を「最高の補完関係」と語る。

 F×G VR WORKSとしては、まず制作受託となるBtoBサービスから展開。企画やキャスティングからプロモーションや効果測定までVRコンテンツ制作をワンストップで提供できることを強みとしてあげている。すでに興味関心を持っている企業や団体もあるとし、ニーズはあるという感触を得ているという。

 今後についてさまざまなコンテンツを仕掛けていくとしつつ、「災害時で映し出される光景は一面的であり、VRで伝えることによって本当の意味での報道ツールが手に入る」語り、近々にでもレギュラーでVR報道番組の配信を開始する考えを明らかにした。ディレクターがきれいな景色や災害現場、記者会見のような報道の最前線をVRで紹介する番組としている。

  • VR元年と呼ばれる盛り上がりや、2020年には7兆円規模に成長する予測を説明

  • 両社の強みを生かせる補完関係であるという

  • まずはBtoB向けに展開。ワンストップソリューションを強みとしている

 発表会では、フジテレビの永島優美アナウンサーと擬似デートを体験できるVRコンテンツをお披露目。来場者がヘッドマウントディスプレイを装着し、無線制御による同時視聴体験をするというもので、水族館の水中やVRゲームコンテンツを挟み込み、VR映像の魅力を紹介。

 ゲストとして、元サッカー選手でスポーツジャーナリストの前園真聖さん、女子高校生社長として知られ、現在は大学生として在学している傍ら実業家としても活動しているAMF代表取締役の椎木里佳さんが登壇。東日本大震災の被災地を舞台に、被災時の写真や映像を織り交ぜながら紹介するドキュメンタリー映像や、バレーボールの試合中継を疑似的なリビングルームで楽しむコンテンツを体験した。このほかメディア向けにも体験会が催された。

  • 来場者が無線制御によるVRコンテンツを同時視聴

  • フジテレビの三宅正治アナウンサー(左)とともに、進行を務めた永島優美アナウンサー(右)。疑似デートというシチュエーションでのVRコンテンツ撮影は「とても恥ずかしかった」と一言

  • ゲストとして招かれたスポーツジャーナリストの前園真聖さん(右)と、AMF代表取締役の椎木里佳さん(左)

  • スポーツ中継を使ったVRコンテンツでは、友人と共通のVR空間で視聴を楽しむソーシャルルームを提示。バレーボールの応援でおなじみの応援スティックをたたいて盛り上がることも可能

  • 発表会後には、関係者向けにも体験会を実施

  • 発表会では触れられていなかった、部屋の内覧や家具の設置を疑似的にできるVRシミュレーターも展示されていた

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