アダルト動画からロボット、太陽光発電まで、幅広い事業を手がけるDMM.com。企業価値が10億ドル以上で非上場の“ユニコーン企業”と言われるまでに同社を成長させた、創業者の亀山敬司氏とはどのような人物なのか。新領域に挑み続ける「事業」、ユニークな制度を採用する「組織」、そして謎に包まれた「日常」を深掘りすることで、同氏の素顔に迫る。(全3回)。
第2回は「組織」について。優れたアイデアを持ち込んできた外部の人間をトップである亀山氏自身が直接雇用する通称「亀チョク」など、他社にはない斬新な制度を導入する狙いや、2000人を超える社員への評価に対する考えを聞いた。
幹部も30~40代だから、若いっちゃ若いよね。でも、どちらかというと、うちの役員は能力が高いやつよりも、公正に見られるやつをなるべく置いてる。「こいつは(仕事が)できるから、俺を越えてもいいから上げてやってください」って言えるようなやつを置いておくと、若いやつらがきても潰さないじゃない。
役員と「お前らもそろそろ何も浮かばないだろ?」という話になるから、役員も若いやつからアイデアを吸い上げて、それをフォローするしかないよね。ただ、若いやつらはエネルギーとやる気とアイデアはあるんだけど、いざとなると社会経験が少ないから、どうやって予算を用意するかとか、誰と人脈を作るかとか、そういったものがないんだよ。
だから、主役は若いやつで、年寄りはそれをうまく評価したりお金を出したりしてカバーする。そこがうまく混ざれば面白くなるんじゃないかな。
いま話したようなことを目指しているんだけど、若いやつも同じ会社にいると、どうしても会社の中に染まっていく。“俺色”というと変だけど、ほっとくと(亀山氏が)カリスマみたいに扱われるんだよね。「会長が言ってるから」とか「会長が好きだから、この方向で行こう」とかね。そうなると、みんな知らず知らずのうちにイエスマンになって、「新しいことをどんどん言えよ」って言っても、いまいち会社の枠を超えないアイデアしか出ないんだよ。
これはちょっと刺激を与えないといけないということで、外部のまったく異文化の人間を入れることにした。それこそソフトバンクだろうが、楽天だろうが、まったく別の業種だろうが、いろんな人を入れていくとさ、いろんな価値観が入ってくるじゃない。そこで刺激を受けて、「あの人がやれるなら俺たちもやれるかも」とか、「あの人に教わろう」とか思うと変わっていくよね。
それで、最近は社内でも「亀チョク契約にしてください」ってやつが出てきた。亀チョクは、FA(フリーエージェント)契約みたいなもので、その分コミットしてくれよって言ってるんだけど、実例を見せてやるとやる気が出るじゃない。社員に「あの人は会社に来なくてもいいんですか」って不満が出ても、「あいつは結果だけ出せばいいんだよ」って言えるようになる。その代わり、「(半年契約に切り替わるので)安定性はなくなるから、人生かけてこいよ」とも言うけど(笑)。そういうやつが最近は社内から出てきたかな。
昔は20~30人に会ってたんだけど、最近はその10倍くらい応募がくるから、俺もさすがに(すべては)会えなくなってきた。だから、一次審査は役員とかにみてもらって、そこから20~30人に会って、その中の1~2割を採用するかな。
(アイデアの実現まで)しばらく時間がかかるものもあるね。たとえば、水族館だと図面を書くだけで1年かかって、(完成まで)3年がかりなんだよ。とりえあず第1段階として、1億円の仮予算をきって図面まで作るけど、そこで計算しなおして、市場とあわなくなっていたり、思ったより予算がかかるってことになれば、やめるかもしれないな。だから、(亀チョクの)期間はバラバラだね。半年間の契約のやつもいれば、2年間のやつもいるよ。
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