“東証”のような仮想通貨インフラに--ビットコイン取引の「QUOINE」が17億円の資金調達 - (page 2)

 現在、ビットコイン取引は中国によるトレードが大半を占めており、中国単体で取引高は1日あたり1400億円ほどに達している。栢森氏は、その中国を日本が抜く可能性があると指摘する。それには、「FX」と「ポイント」が鍵を握るという。

 日本のFX市場は約5000兆円と世界最大。そのうちの10%でもシェアを獲得できた場合、1日あたり1.36兆円の取引に相当する。また、日本では「Tポイント」「楽天ポイント」などのポイントプログラムが生活に浸透している。こうしたポイントも一種の仮想通貨であり、ビットコインなどの普及に際してハードルが下がるという。

 日本では、Suicaなどの交通系電子マネーや、各ポイントプログラムが普及しており、コンビニやファーストフードで、キャッシュレスで買い物できる“下地”が整っている。また、ブロックチェーン技術を活用することでポイントとビットコインを交換することもできる。国内向けのポイントを海外のショッピングに利用したり、訪日旅行客がビットコインから日本の電子マネーに瞬時に換金できるようになる。

 現在、ポイントプログラムのほとんどはユーザーの囲い込み施策として展開されているが、新規顧客を獲得するための「攻めのロイヤリティポイントであるべき」と栢森氏は指摘する。

ビットコイン取引高の90%がアジアであり、そのうちの大半を中国が占めている
ビットコイン取引高の90%がアジアであり、そのうちの大半を中国が占めている

 仮想通貨の使われ方も各国でさまざまだ。米国ではもっとも信頼性の高いドルがあるため、仮想通貨へのトレードはあまり実施されていない。また、送金手段としてもPaypalなどのサービスがすでに充実しており、仮想通貨が入り込む隙があまりない。一方で、先行き不安感のあるユーロや、経済が不安定な中国、自国通貨の信用度が低いアジア諸国などではビットコインのニーズが高く、ここ2カ月のビットコイン高騰の要因の一つにもなっている。

 また、銀行口座やクレジットカードを持てない人への金融サービスが実現できることも大きな特徴だ。フィリピンなどでは、出稼ぎ労働者の送金手段として使用され、ビットコインからペソへのトレードが圧倒的に多いという。先進国での状況を鑑みるに日本は特殊な市場であると言える。


仮想通貨は、先進国よりはどちらかというと自国通貨が弱い発展途上国でのニーズが高い

 QUOINEは、ビットコインなどの仮想通貨プラットフォームとして、こうしたグローバルでの存在感を高めることで、2020年までにアジアのFXと株式市場の1%にあたる800兆円の獲得を目指す。

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