書店の来店回数が2倍に--“技あり”電子書籍サービス「Airbook」とは

加納恵 (編集部)2016年06月09日 07時30分
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 書店の売り場縮小や雑誌の休刊など、雑誌、書籍を取り巻く環境は依然として厳しい。電子化という新たな活路は見えているものの、“紙”からの切り替えは、すぐに進むものではなく、いまだ一部のユーザーのみの利用にとどまっているという。

 紙媒体としての見やすさを残しながら、電子書籍の保存性、携帯性を享受するにはどうしたらいいのか。その1つの答えが、全国で815店舗の「TSUTAYA BOOKS」を展開するTSUTAYAと電子書籍サービスを手掛ける「BookLive!」が実施している「Airbook」だ。


Airbookの仕組み

 Airbookは、TSUTAYA対象店舗で「Tカード」を提示して対象商品を購入すると、対象商品の電子版が無料で提供されるサービス。紙と電子の両方を取得することで実現する新たな読書体験が得られる。

 2014年12月に開始し、現在対象店舗は810店舗。対象商品は月刊誌、週刊誌が158、ムックが91、書籍、コミックが122で合計371タイトル。6月からは趣味誌75タイトルのほか、スターツ出版の「ベリーズ文庫」などが加わった。

 TSUTAYA BOOK部TBNユニットリーダーの安本朋幸氏は「紙の本と電子書籍では、楽しみ方に少し差がある。単純に家では可読性の高い紙のバリューがあるが、電子書籍は携帯性に優れる。自宅では紙、外出先ではスマホやタブレットと、シチュエーションによって使い分けてもらえるのでは、と考えた」とAirbookサービスのきっかけを話す。

 店舗で購入した雑誌と電子版のひも付けはTカードを利用することで、煩雑な手続きを回避。TカードとBookLive!への加入は必要になるが、Tポイントを貯める“ついで”に電子書籍が入手できる手軽さだ。購入の翌日には電子書籍版がBookLive!の本棚から閲覧ができる。

 ユーザー数は非公開だが、男女比は6対4。男性は30~40代がメインだが、女性は20~30代が中心だ。「男性はビジネスユースがメインと推測されるが、ファッション系雑誌の多くが対象になっているため、20代女性の取り込みにも成功している」と安本氏は現状を分析する。

 Airbook利用者は、TSUTAYA全体の利用者に比べ、来店回数が約2倍に増えたほか、購入冊数は約1.6倍を記録する。また、対象雑誌に関しては、同一雑誌を同一店舗で購入する割合が上がっており、固定客の取り込みにも一役買っている。

 Airbookの活用法を聞くと、安本氏は「海外旅行にでかけたとき、自宅で計画を立てるときは紙のガイドブックを読み、旅行先では電子書籍を利用することで、かさばらずに情報を持っていくことができた」とのこと。BOOKMDチームの鈴木安紀子氏は「ファッション雑誌を購入すると、家では紙で読み、外出先で友人にあったときに、掲載店舗の情報などを共有する」と、ジャンルも使い方もさまざまだった。

 「雑誌や本を所有する点において、いかに差別化できるか」と、Airbookの立ち位置は明確だ。今後は対象商品を増やしつつ、紙と電子の両方が楽しめるAirbookの認知拡大に取り組んでいくという。

左からTSUTAYA BOOK部TBNユニットリーダーの安本朋幸氏、BOOKMDチームの鈴木安紀子氏
左からTSUTAYA BOOK部TBNユニットリーダーの安本朋幸氏、BOOKMDチームの鈴木安紀子氏
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