音楽SNSとは言ってますが、システム的には尺が90秒の音声投稿プラットフォームです。それに対してどのように使うかは自由で、朗読劇やミュージカルのほかにも、声面接というものなども投稿されています。例えば、島村楽器さんなどが提供するフリー素材のドラムトラックを使用して、リズムに合わせながらテーマに沿った質問だけを投稿するユーザーがいます。それに対して、別のユーザーが回答をセッションするのです。
また、アーティストが公式でコラボする事例も増えています。最近では、JUJUさんご本人がユーザーの質問に回答したり、新曲をユーザーと一緒にセッションするといった、アーティストのファンを増やすための取り組みをしています。
個人的には、nanaは“代々木公園”だと思っています。楽器を持ち寄ってお酒を買ってきて、ブルーシートを引いてわいわいセッションして、酔いながら「それいいね」と。そして、横を見ると同じような団体が複数あって、そのなかにJUJUやアーティストもいて、みんなと歌い合ったり、没曲を投稿したり、ファンが考えたギターアレンジが重なって、コミュニケーションしても良いとする世界観です。メジャーな人たちも音楽で遊びましょうというコンセプトです。
実は、nanaをリリースした当初は弾き手の方々がメインでした。もちろん、単純に母数として歌う人の方が多いのですが、若いユーザーの中にも習い事でピアノをやっていた人も多く、そうしたユーザーが曲を弾いてコラボするという流れも起きています。
Facebookはリアルにひも付いていますので、若い人は嫌がる傾向にあると思います。根本の思想や設計的に仕方ない部分もありますが。2008年~2010年あたりは“イケてるサービス”として大学生が使い始めましたが、次第に幅広い年齢層の方が使い始めました。親も利用しているサービスを10代の若年層が使うとは考えにくいです。
今年のはじめに「おばさんたちはinstagramに来ないでほしい。」と題したブログが話題になりましたが、気持ちとしてはとてもよく分かります。“自分たちの世界”というのは10代のころには強くあり、そうしたものがある意味担保されてないといけませんし、ネットはそうしたはけ口として使われてきました。ネットもマスに広がりましたので、リアルとオーバーラップするところも出てきますが、紐付け過ぎるとFacebookのようになってしまいます。自分たちの“ちょいワル”“ちょいエロ”が許されるようなコミュニティ、空間が築けるサービスでないと使われません。
基本的には音楽を楽しんでいるユーザーに使って欲しいと考えていますし、実際に40~50代と10代がバーチャル上で一緒にセッションしているシーンも生まれています。音楽が軸になっていること、匿名性が高いことから、あまりリアルとひも付いていません。そのため、大人と一緒になってのコミュニケーションもあると感じています。
nanaにはいろいろな使い方がありますが、基本的には音楽仲間が欲しいというマインドが根底にあります。仲間が欲しいわけではないが、楽しいから続けてた結果、気が合う仲間が増えてきたといったパターンもあるでしょう。
また、「この人の歌をリアルで聞いてみたい」「セッションしてみたい」というところから、カラオケに行く、スタジオに入る、公式のイベントに行ってみると流れができます。イベントでは、生レコーディング、のど自慢、フリージャムセッションのほか、アカペラやギターが学べる体験型ブースなどを用意しており、イベントでさらに仲間を増やすことができるのです。
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