ジオデシック・キャピタルは5月17日、第1号となるファンド「Geodesic Capital Fund 1」を設立したと発表した。資金調達額は総額3億3500万ドル。
同キャピタルは、ジョン・ルース前駐日米国大使、アシュヴィン・バチレディ氏、三菱商事の3者で設立されたもの。独立系のベンチャーキャピタルとして、シリコンバレーを中心としたグロース・ステージのコンシューマおよびビジネス向けテクノロジー企業に特化して投資。人材、顧客、提携先の獲得や、市場参入戦略を支援するほか、日本をはじめとしたアジア域内への事業拡大をサポートする。
同ファンドでは、動画ベースのチャットアプリ「Snapchat」、セキュリティ向けソフトウェアを開発する「Tanium」、アプリケーション配信を高速に行うコンテンツ配信ネットワーク(CDN)の「Instart Logic」、ビットコイン・プロトコルをネイティブでサポートするコンピュータ「21 Bitcoin Computer」を開発する21 Inc.に対してすでに投資活動を開始している。
また、 投資先企業の日本市場への参入を支援するジオデシック・ジャパンを立ち上げた。アップル・ジャパンの元幹部の尾辻マーカス氏が同社カントリーマネージャーに就任。同社シニアアドバイザーには、Twitterの日本法人代表取締役会長などの経歴を持つ近藤正晃ジェームス氏が就任する。
そのほか、三井住友銀行、三菱重工業、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、損害保険ジャパン日本興亜、ニコン、日本政策投資銀行、東邦銀行なども投資家として参画している。
ルース氏は、駐日大使として赴任する前には、IT企業やライフサイエンス業界、新興企業への顧問業務を担っているウィルソン・ソンシーニ・グッドリッチ&ロサーティ法律事務所の最高経営責任者を務めていた。また、バチレディ氏は、アンドリーセン・ホロウィッツにて、Facebook、Twitter、Box、Airbnb、Githubへの投資にも深く関与していた人物だ。
ルース氏は「駐日米国大使として赴任した後シリコンバレーに戻り、消費財、金融、運輸、保険などすべての業態でITを使ったかつてないイノベーションが起きていること、また、シリコンバレーにおいて、市場として、パートナーとして日本への注目が高まっていることを実感した」と述べ、日本のプレゼンスをシリコンバレーで拡大するために、ジオデシック・キャピタルを立ち上げたと、設立の背景を語った。
また、三菱商事との共同設立について、「三菱商事は、世界でもトップクラスの投資企業」とし、当時の三菱商事取締役会長を務めた小島順彦氏と個人的に付き合いがあったことがきっかけだとしている。また、東日本大震災の時に米国大使館が主導した官民パートナーシップ「TOMODACHIイニシアチブ」を、当初からサポートした日本企業の一社が三菱商事だったという。こうした経緯から、ベンチャーキャピタル設立に至った。
また、バチレディ氏は「私のキャリアの中でアイコン的な企業と携わってきた。彼らの共通の課題として世界的に進出し、成功する知識が不足している。現地の文化を知らない、現地の社員を雇えないなど苦難を抱えてきた」と、米国で成功したビジネスモデルを変えずにそのまま他国に展開してしまった結果、ビジネスに失敗する企業が多かったと指摘した。同キャピタルでは、そういった面もサポートする。
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