dTVのオリジナルドラマ作りに学ぶコラボ力、企画力、継続力 - (page 2)

加納恵 (編集部)2016年05月05日 10時00分

データが裏打ちする"企画力”、配信ならではのストーリー作りとは

 一方で、映画連動とは異なるオリジナル作品にも積極的に取り組む。2月に配信を開始した「裏切りの街」は、R15指定かつ4K映像という意欲作だ。「原作は、本作の監督も努めていただいた三浦大輔氏の舞台作品。6年前に拝見させていただいた舞台が非常に魅力的だった。ただ当時はR指定にも対応しておらず、まだガラケーが視聴の主流。一度は制作を諦めたが、やはりご一緒したいと改めてお声がけさせていただいた」と数年温めていた企画だった。この6年間でマルチデバイス化が進んだこと、R15指定対応になったことなど、環境の変化も後押ししたという。


「裏切りの街」。R15指定、4Kドラマとなった

 「漫画が原作の映画連動作品などオリジナルドラマの王道的なものもあれば、新感覚な作品にも挑戦したい。地上波と違うエッジのきかせ方ができるのは、映像配信サービスの1つの魅力。枠にとらわれず作れるのがオリジナルドラマの良さ」と森下氏。一見すると話題性や映像の斬新さのみを追求して、オリジナルドラマを制作しているように見えるが、その裏には会員数500万人の視聴履歴が重要な役割を果たしている。

 「マルチデバイス化やテレビの視聴スタイルのタイムシフト、プレイスシフトによって、配信作品であってもスクリーンサイズを気にすることはなくなってきた。それよりも意識しているのは、配信ならではのストーリーの作り方。内容にシビアな視聴者にいかに興味を持ってもらえるか」と森下氏は話す。

 映像配信での作品提供は、数ある作品の中から視聴する作品を選んでもらうことが第1のハードル。映画連動にタイトルの強さや内容の奇抜さで選んでもらっても、視聴が続かなければ意味がないと森下氏は言う。

 「映画館やテレビを視聴するリビングルームと違って、視聴する場所を特定できない。また少しでも魅力を感じてもらえないとすぐに次の作品へと変えられてしまう。ここは配信ならではのシビアさ」。

 dTVでは、作品の冒頭に魅力を感じてもらえるようなフックを設けるほか、短いスパンで盛り上がりのシーンを入れるなど、起伏に富んだストーリー構成を採用。内容のわかりやすさについても徹底している。「作品に興味をもってもらうためにはどうすればいいのかは常に課題。1つの作品と向き合ってもらうための施策に取り組んでいる」という。

 「視聴実績をデータ化していて、データでは、ユーザーの方がどういう時間帯に見ているのか、どのシーンで離脱しているのか、この作品を見た人はほかにどういう作品を見ているのか、などがデータからわかる。これだけの視聴データを持っているのは、500万人という会員を持ち、オリジナルドラマに長く取り組んでいるdTVだけ。もちろんデータがすべてではないが、配信ならではのドラマ作りのヒントがデータの中にはある」とその活用度は高い。

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