ブラウザメーカーのBrave Softwareは、オンライン広告の有害な部分をウェブから取り除きたいと考えているが、米国の大手新聞各紙は、その計画を「違法」だとして攻撃を開始した。
The New York Times、Washington Post、The Wall Street Journal発行元のDow Jones & Companyなど、米国新聞協会(NAA)に加盟するメンバー企業の弁護士は米国時間4月7日、サンフランシスコを拠点とする新興企業のBrave Softwareに対して法的措置も辞さないと警告する書簡を公開した。Braveのブラウザは、各紙のウェブサイト上に表示される広告をブロックしたり置き換えたりできる。
NAAの書簡には、「われわれのコンテンツを利用して広告を販売する貴社の計画は、われわれのコンテンツを盗用して貴社自身のウェブサイトに公開する計画であるも同然だ」と書かれている。新聞社らは、これが著作権法や商標法およびウェブサイトの利用規約に反した「再発行」に当たるとしてBraveを非難した。
Braveの最高経営責任者(CEO)を務めるBrendan Eich氏はブログで、NAAはBraveやブラウザ全般を誤解していると反論した。同氏は、「Firefox」の開発を手がけるMozillaプロジェクトを共同で創設したほか、ウェブプログラミング言語のJavaScriptを考案した人物として、テクノロジ業界で絶大な信頼を得ている。
Eich氏は、「NAAの書簡にある誤った記述に反して、Braveはユーザーやパブリッシャーにとって問題ではなく解決策だ」と述べた。
NAAの書簡は小さな新興企業1社を標的にしたものだが、根深い問題の核心に切り込んでいる。広告がコンテンツ視聴の邪魔になり、プライバシーの侵害にもなることで読者から敬遠されるといったことを避け、ニュースや動画などのオンラインコンテンツを無料で提供し続けるには、どうすればいいかという問題だ。
オンライン広告はウェブサイトの表示速度を遅くするほか、ユーザーの行動を追跡し、携帯電話のバッテリを浪費し、コンテンツの妨げとなり、攻撃用のソフトウェアを拡散することもある。したがって、2015年には広告ブロックソフトウェアのユーザー数が1億9800万人に及んだことも驚きではない。Appleの「Safari」、MozillaのFirefox、Microsoftの「Edge」といったブラウザも、広告を表示しない閲覧モードを提供している。
Eich氏の方は、次のように反論している。「ニュース業界は、ユーザーの同意がないサードパーティーのトラッキング機能や広告から利益を受けることで、個々の読者のプライバシー侵害に積極的に加担してきた。ニュース業界のリーダーたちは、米国家安全保障局(NSA)や米連邦捜査局(FBI)の戦術などに付き物のプライバシー侵害を当然のように批判するが、侵害の度合いがさらに高いレベルで個人をトラッキングしている自分たち自身の共謀行為については、対処していない」(Eich氏)
NAAにコメントを求めたが、返答は得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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