総務省は4月5日、“実質0円”といったスマートフォンの過剰な値引きを禁止するガイドラインに違反したとして、NTTドコモとソフトバンクに対し行政指導したことを発表した。同ガイドラインは4月1日に適用されたばかりだった。
同省によれば、ガイドラインの適用にともない携帯3社に実態の報告を求めたところ、ドコモでは複数台購入などの条件によって端末価格が「数百円」になる購入補助が、ソフトバンクでは多くの機種において「行き過ぎた」購入補助が行われていたことが発覚したとしている。
ドコモでは、3G携帯電話(FOMA)から「iPhone SE」へ機種変更すると、「月々サポート」を増額し、実質648円で購入できるキャンペーンを発表するなど、複数の端末で割引きをしていた。またソフトバンクは、MNP時に利用できる割引きサービス「のりかえ割」を増額し、iPhone SE、iPhone 6/6sなどが実質0円以下で購入できるキャンペーンを実施していた。
総務省のガイドラインでは、販売状況などを踏まえて在庫端末を円滑に販売する必要がある場合や、携帯電話の通信方式の変更・周波数の移行、廉価端末の場合に限り、行き過ぎた金額にならない範囲で購入補助をしてもいいと規定していたが、2社の割引きはその範囲を超えたものと判断した。
また、こうした高額な購入補助が、通信料金の高止まりの原因になるほか、購入補助を受けないユーザーにとっては不公平であり、MVNOの新規参入なども阻害する可能性があることから、是正を求めたとしている。
行政指導に対し、ドコモは「要請を真摯に受け止めて、対応をしっかり検討する。すでに(キャンペーン価格で)購入している方と予約されている方の金額の差分も含めて速やかに対応を検討する」とコメント。
ソフトバンクは同日中にプレスリリースを掲載し、ドコモの機種変更時のスマートフォン価格や解除料などを踏まえると、「当社が設定するMNP時のスマートフォン価格との間に相応の価格差がない限り、市場における競争を減殺させ、消費者に不利益を生じさせるおそれが高い」と主張。そのうえで、総務省の要請には従い、購入補助の適正化に努めていく姿勢を示した。
大手3社の中で唯一、指導の対象になっていないKDDIは、「引き続き、総務省の要請に従う」とコメントした。
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