スマートフォンネイティブが見ている世界

制限もセキュリティも破る--裏技に長けたスマホネイティブたち - (page 2)

大人の設定は万全ではないことを知ろう

 子どもが裏技を見つけるのは当たり前だ。可処分時間が大きく、ゲームなどやりたいことへの欲求がとても強いためだ。子どもは常識に縛られていないため、柔軟な発想で大人の設定など簡単に破ってしまう。その上、1人でも情報を得たら即座に共有されてしまうネットワークを持っている。

 あるIT系編集者は、子どもにタブレットを与えたが、自宅のWi-Fiのパスワードは伝えず親がいる時だけ利用させようと思っていた。ところが、ある時、子どもがパスワードを破り、勝手にWi-Fiを利用していることに気づいたという。たとえ、パスワードの管理がしっかりしていても、家族間ならパスワードが推測できるということもある。

 ある女子中学生は、弟の通信教育用タブレットの設定を変更し、SNSを使えるようにした上でTwitterなどを自由に使っていた。保護者はそのようなことになっているとは知らず、女子中学生はしばらくの間、誰にも気付かれずにSNSが使い放題の状態となっていた。このようなことはあちこちの家庭で起きている。

 子どもたちと話すと、インターネットに関するいろいろな情報を持っていることに驚かされる。未就学児でもインターネットで検索したり、保護者とLINEでやり取りをしたりしている例は多い。小学生ならマインクラフトくらいは使いこなしている子どもが多いし、中学生、高校生と年齢が上がるにつれて使いこなすサービスも増え、知識や技術も高くなる。保護者世代は元々の知識や経験が少なく、可処分時間も乏しければ情報にも乏しいことが多い。IT企業に勤めている保護者などでなければとうてい太刀打ちできないだろう。

 大人の設定したセキュリティは決して万全ではない。保護者は、子どもは思わぬ方法でセキュリティを破ってしまう可能性が高いことを知っておくべきだ。セキュリティをかけることは大切だが、それだけで安心して放っておいてはならない。スマホやタブレットに制限をかける意味を伝え、「利用を制限するためのものではなく、不快で危険なサイトに間違ってアクセスすることから守ってくれるもの」ということを教えておくべきだ。同時に、子どもと話し合い、危険な使い方をしていないか見守るべきだろう。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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