KDDIは3月29日、抱きしめるだけで想いが伝わるぬいぐるみ型コミュニケーションデバイスのコンセプトモデル「Comi Kuma」を開発したと発表した。一般販売は今のところ未定。
Comi Kumaは、スマートフォンの次となる発明をする「au未来研究所」において開発されたコンセプトモデルで、同研究所の取り組みの第2弾となる。キーボードやボタンを必要とせず、ぬいぐるみの頭をなでる、腕を上げる、手を握る、抱きしめるなどの動作を検知。それにマッチした11種類のスタンプを送信することができる。触る以外にも、うつぶせにすると「疲れた」、あおむけにすると「おやすみ」など、相手に状態を知らせることもできる。
ぬいぐるみにはBluetooth通信モジュールと12個のセンサが内蔵されており、ぬいぐるみの動きにあったスタンプが自動で送信される。受信したスタンプは、胸のリボン部分に内蔵されたディスプレイに表示される。これにより、スマートフォンを使い慣れていない高齢者や子どもでも、簡単にスタンプを送りあうことができる。なお、ぬいぐるみの開発にあたってはユカイ工学が参加している。
KDDI宣伝部担当部長の塚本陽一氏は、Comi Kumaを開発した理由として「IoT時代にウェアラブルなコミュニケーションツールを提供したいという想いがあったが、単に商品を出しても差別化できない。高齢者と障碍者に向けたIoT製品の市場はまだ未開拓で、ここにKDDIとして商品やサービスを提供する価値がある」と述べた。また、「心と心をつなぐハートフルなデバイスはまだまだ日本にはない。エモーショナルな領域でComi Kumaが役に立てるのでは」としている。
また、au未来研究所では、Comi Kumaの開発にあたり2016年1月23日~29日の間、秋田県南秋田郡五城目町でユーザートライアルを実施した。その結果、初日は44.5回だったスタンプの交換回数が、6日目には194.5回までに増加するなどComi Kuma利用の習慣化がみられたほか、Comi Kumaをきっかけに電話など直接的なコミュニケーションも増え、祖父母と孫にとって有効なコミュニケーション手段であることが分かったとしている。
このトライアルについて、秋田県五城目町まちづくり課課長の澤田石清樹氏は、実際に利用した高齢者から「Comi Kumaによって孫が同じ家にいると錯覚する」と、リアリティのあるコミュニケーションが行えたという声があったとした。また、遠方に住む孫については「家族の中の遊び相手として接してもらった。最終日にはぬいぐるみが愛おしくなったようで、なかなか返してくれなかった」と、いろいろな家族に使用してもらい、いずれも好評だったことを明かした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」