全部入りがさらに進化--機能を極めたヘッドホンParrot「Zik 3」その使い勝手は?

斬新なアイデアに最新のテクノロジが加わる

 ヘッドホンは言わずもがな、音楽を聴く装置である。左右のドライバーユニットから音を放ち、耳内へと届けるといった単機能製品だ。だが、そんな本質に斬新なアイデアと最新のテクノロジがプラスされると、かくも楽しい製品が生まれるのか、と気づかされる製品がある。それが、仏Parrotが送り出しているZikで2012年の日本初上陸以来、新鮮な驚きを与えてくれるシリーズだ。

「Parrot Zik 3」
「Parrot Zik 3」

 オンイヤースタイルのオーバーヘッド型で、Bluetooth3.0によるワイヤレス送信、ノイズキャンセリング(NC)機能、ハウジングに設けたタッチセンサによるプレーヤーのコントロール、本体の着脱による再生自動オン/オフ、専用アプリケーションとの連動、さらにフィリップ・スタルク氏によるデザインといった特徴を有しつつ、近頃いっそうの磨きがかけられZik 3として姿を現した。

 では、進化したポイントを中心に列記してみたい。まず、本体にDAコンバータを内蔵したことが挙げられる。充電用途も兼ねた付属のUSBケーブルでパソコンと接続すればデジタルファイルをダイレクトに聴くことが可能だ。5.1ch音声にも対応。さらに、ワイヤレス給電の国際標準規格「Qi(チー)」に準拠し、対応の充電器に置くだけでチャージができる。

 本体のフォルムはいかにもスタルクな有機的なテイストで、大幅な変更はない。しかし、イヤーカップの仕様にクロコダイル調、ステッチ刺繍、レザー調の3種を用意。またそれぞれにカラーバリエーションもラインアップされている。試聴に使用したのはステッチ刺繍のアイボリーカラー。マットで上品な質感で、色のせいかマカロンを連想してしまった。

 また、ヘッドバンド部は全モデルよりもやや大きくなり、またしなやかに曲がる素材・構造とすることでフィット感をさらに高めたという。側圧が高く、オンイヤータイプだが遮音性は高い。それにNC機能(スペック上は最大30dB低減可能)が加わるのだから、さまざまな環境で音楽とじっくり向き合える。オンにしておけば、レベルは自動で調整される。

  • フィリップ・スタルク氏のデザインを採用。マットで上品な質感で、イヤーカップ部には刺繍が施されている

  • イヤーカップに備えたタッチパネルで操作するため、ボタンは電源のオン、オフのみ

  • バッテリは、カップ内部に搭載。脱着が可能だ

 そして最も興味を惹かれたのが専用のiOS/Androidアプリ「Parrot Zik」。これは前モデルで大幅に改訂されたものを継承。「プロデューサーモード」では20Hz~20kHzにおいて5バンドのパラメトリックイコライザーによって仔細にサウンドの調整が可能。さらに「パロット・コンサートホール」では、サイレントルーム、リビングルーム、ジャズクラブ、コンサートホールといった響きの異なる空間を選択すること可能だ。サラウンドアンプにおけるDSP効果といってよいだろう。しかも、左右のスピーカの角度を30度から180度の間で開きを調整することもできる。その設定を曲ごとにセーブすることも可能だ。

 「チューン・バイ」も特筆すべき機能。これはロックやヒップホップ、ジャズ、EDMなどといったジャンルのミュージシャンが自分の好みのイコライジングを登録し、それをユーザーが共有できるというものだ。

 さらに、「ノイズカード」は、スマートフォンの位置情報を元に、周囲のノイズ情報を画面にマッピングするというユニークな機能だ。騒音が30~130dBのエリアは赤く表示される。しかも、世界中見られるから驚きだ。また、Apple Watchや、Android wearを採用したスマートウォッチの操作や、NC機能の調整にも対応する。本体を手に入れたら必ず活用すべき。音楽を聴く行為を大きく進歩させる、そんな気がするからだ。

ミュージシャン目線の「チューン・バイ」を試す

 肝心の音質は、ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーとBluetooth接続してチェック。デヴィッド・ボウイの「★」はエネルギッシュな鳴りが印象的で、音楽全体が耳の奥に迫ってくる。ボウイの揺らぎ、かすれるような歌声も浮き彫りになり、このアーティストが召されてしまったことの寂しさを一層深くさせる。

 坂本龍一を中心としたサウンドトラック「レヴェナント」は、ストリングスが細やかに表現され、ひりひりとした緊張感を否が応でも伝える。また、背後に漂う不穏なエレクトロニクスも自然に描き出した。そこにNC機能をオンにすると、音像だけが明瞭になる。ただ、その効果が演出的でないのが好ましい。チェロやパーカッションの芯もしっかりと感じさせた。

 前述のアプリから「チューン・バイ」を開くと、ポストクラシカルシーンの第一人者、マックス・リヒターのプリセットも登録されていた。そこで彼の作品をはじめとしていくつかのアルバムを聴いてみたのだが、中域がやや持ち上げられたように感じた。ストリングスの濃度も上がっている。こんなふうにアーティストが日常、どのようなサウンドを好んでいるのか、その一端を垣間見られるようで面白い。

 抜群のルックスとデザイン、これ以上盛り込めないほどの機能と遊び心、そして丁寧な音づくりが見事に調和している。この総合力の高さはヘッドホンシーンを牽引して然るべきものだ。

  • 周囲のノイズ情報を画面にマッピングする「ノイズガード」

  • サイレントルーム、リビングルーム、ジャズクラブ、コンサートホールといった響きの異なる空間を選択できる「パロット・コンサートホール」

  • ミュージシャンが自分の好みのイコライジングを登録している「チューン・バイ」

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