ソフトバンクとジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグは3月10日、ソフトバンクが「B.LEAGUE(Bリーグ)トップパートナー」に決定したと発表した。
今回の契約により、ソフトバンクは独占的に「有料放送」と「インターネット放送」を権利を獲得。今後、3つのリーグのうち、B1とB2はスマートフォンを通じて開幕の試合からすべての試合をライブ配信する方針だ。
なぜソフトバンクはメインスポンサーになることを決めたのか。ソフトバンクの企業理念である「情報革命で人々を幸せに」を軸に、ITの力で一人でも多くの人にスポーツの喜びや感動を伝えていきたいと説明する。スポーツと企業の関係とはどんなものか。2004年に発表したプロ野球参入から約12年、今の思いを語った。
ソフトバンクが、当時の福岡ダイエーホークスを買収してプロ野球に参入を表明したのは2004年のことだ。
球団の運営は年間数十億円の赤字が出ると言われていた。ソフトバンクは、Yahoo! BBの新規顧客獲得費に年間1000億円をかけており、球団を保有することで認知度が上がれば「十分まかなえる範囲」として、孫氏が生まれ育った九州、ソフトバンクを創業した地にある福岡ダイエーホークスの保有にこだわった。
孫氏は当時を振り返り、「取締役会はほぼ全員反対だった。強引に押し切る形で突入したが、やってよかった」と明かした。
結果としてどんなメリットがあったのか。1つはソフトバンクのマーケットシェア向上につながったこと。2つ目は過去の歴史から一転し、球団運営の黒字化と、それによる選手の育成強化といったポジティブスパイラルにもって行けたことだという。
ソフトバンクは2006年にボーダフォン日本法人を買収後、東京ではそれなりのマーケットシェアを取り始めたが、地方におけるシェアは低いままだったという。ところが、球団に参入し、福岡ソフトバンクホークスとしてスタートした後に全国でシェアが上がりはじめ、とりわけ本拠地である福岡は向上したと語る。
「九州だけで、利益に換算すると毎年200億から300億円。特に福岡を中心にシェアを押し上げた。これはホークス効果。テレビの放送によるブランドの認知度は、露出度を数字に換算したら年間400~500億円ぐらいの効果がある」(孫氏)
孫氏によれば、パ・リーグが始まって以来70年あまり、球団は全チーム毎年すべて赤字で、年間で黒字だった時代はなかったという。
「ソフトバンクホークスは最初の数年間こそ赤字だったが、毎年数十億円の利益を出している。(通常は赤字分を)所有企業の広告代として補填するが、ソフトバンク本体からの広告による補填金なしで、球団そのものの運営で黒字が出ている」と説明した。
「ホークスは3軍まであり、ドラフトから漏れたところまで、自ら選手を育成している。多額のスカウト料ばかりで成り立っているわけではない。出た黒字は、選手や監督、皆さんに還元しようとしている」と例を挙げ、「企業とスポーツの在り方は、単に広告効果だけではない。プロ球団が自らの運営の在り方をレベルアップすることで、ポジティブスパイラルにできるとホークスを運営した結果感じた」と語った。
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