B子は、SNSと名の付くものなら大抵のサービスを使ってきたという。B子の周囲では、話題のサービスがあるとみんな一斉に飛びついて使うが、誰かが他のサービスを見つけると今度は一斉に次のサービスへと移ってしまう。これまでに、PinterestやSnapchat、Instagram、Google+などが流行った。現在も基本はLINEで、加えてその時グループで流行っているSNSを使ってコミュニケーションしているそうだ。
10代における人間関係には、強い同調圧力が働いている。みんなが使っているものが使いたいし、使わなければいけない。使わないことで仲間はずれにされることもある。「みんなが使っている」の「みんな」は身の回りの自分の行動範囲にいる人たちだけだが、そのみんなは絶対であり、従わないとグループにはいづらくなってしまう。「流行を追い求める流行に敏感な私たち」のはずが、結果的に画一化していって没個性的になってしまう。
B子自身はかつてmixiを気に入っていた。TwitterやFacebookは公開範囲によっては検索対象となるため、周囲の目も気になるし書けることも限られる。一方、mixiなら匿名で検索対象とはならずに使えたので、気兼ねなく何でも書くことができた。しかし、徐々に友達がmixiから離れていき、2年前くらいからは誰も使っていない。「SNSはみんながいないと使えない。自分だけでは使えない」。
心理学でいう「ミラーリング効果」をご存じだろうか。相手の仕草や行動を真似することであり、自分と同じ仕草や行動をする人に好感を持つことを指す。コミュニティに所属する以上、所属するメンバーに好まれることは大切だ。だからこそ、彼らは無意識に同じものを持ったり同じ行動を取って、周囲から好かれようとしているように思える。中高生にとっては、社会全体がどうかではなく、自分の所属するコミュニティがどうなのかが大切だ。狭い世界で暮らしているため、コミュニティにおける居場所が何よりも大切だからだ。
同じような格好をして、同じ端末を持ち、みんなで流行を追い、同じアプリを利用する。それが10代の子達に課せられた強力な縛りだ。その年代は、仲間に受け入れられることが何より大切であり、価値観に対しても同調圧力が働いている。
しかし、実際はゲームやアプリなどは自分の楽しみのためにやるものであり、他人がやるから合わせてやるというものではない。使いたくなければ使わなくてもいいし、持ちたいものを持てばいいのだ。10代における「みんなと一緒でなければならない」という思い込みは強烈だが、本当はそうでなくともいい。周囲の目を気にしすぎず自分の軸を持って行動できるよう、アドバイスしてあげてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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