自分に合うものを探すのではなく、みんなが使っているものを使いたくなる。日本人らしさとも言えるが、中高生にはその傾向がより顕著だ。中高生はどのようにしてモノを選ぶのか。
中高生がモノを選ぶ時の行動や考え方、問題点について考えていこう。
中高生は、新しいサービスに手を出してはすぐにやめてまた別のサービスに手を出す傾向にあるようだ。高校2年女子A美は、Decolog、CANDY、CROOZなど、これまでにさまざまなモバイルブログに手を出してはやめている。選ぶポイントは、どれだけ写真を可愛くデコれるかという点。好きな読者モデルなどが使っているかどうかも重要な点だ。Instagramと並んでファッションや可愛いものをチェックするために利用している。
可愛い世界に憧れて自分でもブログを書いているが、なかなか思ったように書けずに苦労している。「今はInstagramとモバイルブログで写真の勉強中。カメラアプリとかもあれこれ手を出している」という。
A美は写真より文章が得意なのだが、一般的にお洒落なモバイルブログでは文章は添え物にすぎず、写真と可愛らしいデコレーションが大切だ。「がんばっても人気が出ないと、新しくブログを作り直そうかと思う」とA美はため息をついていた。A美は、理想の自分を追い求めて理想のモバイルブログサービスを探し求めているというわけだ。
MMD研究所の「2015年上半期スマートフォンゲームアプリに関する調査」(2015年7月)によると、2015年1~6月の期間にハマったゲームアプリは、「パズル&ドラゴンズ」が24.0%でトップ。続いて「ディズニーツムツム」(22.5%)、「モンスターストライク」(13.7%)。以下、「ぷよぷよクエスト」「キャンディークラッシュ」「LINEポコポコ」「魔法使いと黒猫のウィズ」「白猫プロジェクト」「FINAL FANTASY Record Keeper」「消滅都市」などとなっていた。
人気上位のアプリは多少順位が入れ替わるくらいで不動だが、それ以下は入れ替わりが激しくなっている。
大学1年女子B子いわく、パズドラは男子に、LINEゲームは女子に人気が高いようだ。周囲の女子たちは、LINEゲームを一通りやっており、流行る時はみんな一斉に使うが、流行が終わるとぱたっと使うのをやめてしまうという。「興味がなくても誘われたら一応やってみる。ゲームに招待されたり、体力回復アイテムを送り合ったりするから(やりたくなくてもやらないわけにはいかない)」。
「自分だけやったりはしないの?」と聞いたところ、「誰もやってないのにやる意味がない。みんながやってることに価値がある」と答えていた。「みんながやっているものがやりたい」という同調圧力と、「個性的でありたい」という思いが交錯した結果が、先ほどのアプリランキングにつながるということかもしれない。
特定のスマホゲームやソーシャルゲームが流行すると、頻繁に招待や体力回復アイテムのおねだりなどが送られてくるようになる。特にLINEゲームはLINEの友達から送られてくるので、10代の子達は招待やおねだりなどを断りづらく、興味がなくても使い始めることになる。
App Storeなどのランキングを見ればそのゲームがどれだけ人気かが分かるし、ゲームのランキングを見ればLINEでつながる友人たちがどれくらい使っているかも分かってしまう。流行した時にはLINEの多くの友達がランキングに並ぶが、流行が去ってしまうとランキングは閑散とする。流行が目に見えるので、流行に合わせて使いやすいというわけだ。
B子はランキングが好きであり、随時ランキングをチェックしている。ランキングから新しい人気アプリを見つけて使うことも多い。「人気があるものや新しいものをやっていると、『今こんなものが面白いんだ』『私もやってる』と友達と盛り上がれる。でも、流行遅れのものをやっていると、『まだこんなのやってるの?』という雰囲気がある」とB子は言う。このような仲間内での同調圧力は男性よりも女性に強い傾向にある。
中学生の娘を持つ保護者から聞いた話だ。娘が「みんながiPhoneを持っているからどうしてもiPhoneがいい」と言い張るので、メンバーの内訳を聞いたところ、確かに娘の仲が良いメンバー全員がiPhoneを持っていることが分かり、格安スマホを検討していたのにiPhoneを買わねばならなくなったという。中高生においては、モノでもアプリでも、みんなと違うものは使いづらい雰囲気が強いのだ。
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