IoTプラットフォームサービスを手がけるオプティムと、医療情報プラットフォームを手がけるMRTは2月4日、スマートフォンとタブレットを用いた遠隔診療サービス「ポケットドクター」を発表。医師は、相談者の顔色や患部の状況をスマートフォンなどの動画や写真で確認し、アドバイスや診療ができる。4月にサービスを開始する予定だ。
相談者や医師、医療機関は、スマートフォンやタブレットに専用アプリをインストールしてサービスを利用する。アプリはiOS 8.0以降のiPhoneやiPad、Android 4.0以降のスマートデバイスで動作する。
当初のサービスは、相談者が初診をしてもらった医療機関の医師に、保険を適用して遠隔で再診が受けられる「かかりつけ医診療」。忙しくて通院して再診ができない場合や、普段利用する医療機関が自宅から遠い場合、また高齢者の方などの通院自体が困難な場合などの利用を想定している。両社は当面、ポケットドクターに参画する医療機関に対して、同サービスを無料で提供するという。
相談者が映像や画像を共有する際、医師は「赤ペン」と「指差し」の機能を使うことで、映してほしい箇所の指示や症状の説明が的確にできるという。また、医療機関によっては、患者の電子カルテやレントゲン写真などを見ながらコミュニケーションをとれるようにするそうだ。
今後、さらに2つのサービスを追加する予定。相談者が事前にポケットドクターで医師の時間を予約し、全国にいる各専門医に健康相談ができる「予約相談」は、時期は明かしていないが、かかりつけ医診療の次にリリースする予定だ。近所に専門医がいない場合のファーストオピニオンや、かかりつけ医とは別の医師に意見を聞きたい場合のセカンドオピニオンとして利用できるという。料金は、5分1500円から。
24時間365日、いつどこからでもすぐに医師に健康相談ができる「今すぐ相談」は、2016年度内の開始を予定。深夜の急な体調異変や、すぐに医療機関に行くべきか迷うような症状が出た際に短時間で相談ができる。料金は月額500円から。
予約相談と今すぐ相談の医療機関側の利点として、両社は、医師が診療の合間の空き時間を有効活用できることや、産休育休中の女性医師が自宅などで対応できることを挙げている。
両社は、2019年3月までにポケットドクターを1万以上の医療機関に導入し、予約相談への参加医師1000人以上、今すぐ相談への参加医師1万人以上を集めることを目標に掲げている。
オプティム代表取締役社長の菅谷俊二氏によれば、さまざまなヘルスケア機器やウェアラブルデバイスと連携し、相談者のバイタルデータ(体温や血圧などの生体情報)を医師や医療機関と共有することで、深刻な疾患の悪化を事前に検知できるような仕組みも作る計画。現在、複数のメーカーと交渉を進めており、4月のサービス開始時には「数種類の機器」とポケットドクターが接続されている見通しだという。
両社によれば、全国1340の医療機関がポケットドクターに賛同している。2月4日の発表会には、賛同する医療機関の医師約15人が参加。医師で医学博士、慶應義塾大学名誉教授であり、2月1日にMRTの医学顧問に就任した相川直樹氏は、ポケットドクターを活用した医療形態は速いスピードで日本の医療を変えるとし、「私のミッションは、この事業の医療レベルを高めること。そして、安心と安全の確保。そこからお手伝いさせていただき、事業の発展に尽くしたい」と意気込みを語った。
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