ヘルスケア事業を手がけるクリニカル・プラットフォームは1月19日、診療所やクリニック向けのクラウド電子カルテ「Clipla(クリプラ)」の提供を開始した。患者の患部の状態をスマートフォンで撮影してカルテに直接保存できる機能や、患者がPCやスマートフォンから診察予約ができる機能などを備える。今後、機能を拡充し、2020年までに5000施設への導入を目指す。
ブラウザで利用できるため、PCやタブレットの機種を問わず、クラウドのサーバに保存されているデータにアクセスできる。診療報酬改定の内容や新たな薬剤などのマスターデータは自動で更新される。
患者データの管理に加えて、診療所の経営も支援する。日本医師会が提供する、診療報酬点数を計算して「社会保険診療報酬支払基金」に請求するためのソフト「ORCA」との連携が可能で、会計業務の効率化を図れるようにした。日本医師会によれば、ORCAは2015年12月時点で全国約1万5250施設で稼働しているという。
経営を支援する機能は今後充実させていく計画で、経営ダッシュボードや診察レビュー、在庫と受発注の管理、患者とのコミュニケーションツール、会計データの自動取得機能などを実装する予定。今後、機能ごとに、同様のサービスを提供する企業とパートナーシップを組むか自社開発するかを判断するという。
クリニカル・プラットフォームの代表取締役である鐘江康一郎氏は「(医療施設の)院長は経営者であると思っている。そのため、電子カルテは経営支援システムにならなければいけない」と語り、1~2年の間に、CliplaをクラウドのERP(統合基幹業務システム)として活用できるようにするとの目標を掲げた。
Clipla導入時に専用サーバの設置は不要で、初期導入費用はかからない。料金プランは2つあり、電子カルテのみ利用できる「ライトプラン」が月額9800円または年額一括払い9万8000円。電子カルテとORCAが利用できる「ベーシックプラン」は月額2万9800円または年額一括払い29万8000円。
クリニカル・プラットフォームは2013年10月に設立。2015年10月には、医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアと資本業務提携を締結し、Cliplaの販売プロモーションを強化した。また、MedPeerに登録する医師からのフィードバックを受け、サービス開発に役立てているそうだ。
シード・プランニングの調査によれば、2013年の診療所向け電子カルテ普及率は約27%。新規開業の約70~80%が電子カルテを導入しており、都市部は100%近いという。
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