神戸市が実施するアクセラレーションプログラムに参加する起業チームを選出するコンテスト「グローバル・スタートアップ・ゲートウェイ神戸」が12月6日に、神戸市内で開催された。国内外47件の応募から選ばれた9チームと、学生を対象としたハッカソン「JP HACKS」で神戸市賞を受賞した計10チームがファイナリストとして登壇。ファイナルピッチは公開形式で行なわれ一般からも約160名が参加し、10名の審査員の選考よって5チームが選出された。
選出された5チームは、神戸市の選出により神戸新聞社と関西学院大学が運営する「神戸スタートアップオフィス事業」が実施する、短期重点型のアクセラレーションプログラムに参加する権利が得られる。具体的には、2016年1月27日に神戸市内にオープンするスタートアップオフィス内に起業チームの拠点を提供すると共に、1チームに180万円の活動資金が提供される。13週間にわたる支援スケジュールも公開されており、その間、パートナー企業や専門家で構成されたメンターから事業プランニングや定期メンタリングなどの各種アドバイスを集中して行うことで、事業の実現とグローバル化を目指す。神戸市では同様のコンテストを2年半で5回開催し、計25チームの支援を予定しており、今回のコンテストはその第1回目にあたる。
ファイナルピッチは6分間のプレゼンテーション形式で行なわれ、ビジネスの内容をはじめ、市場分析や収益計画、事業計画スケジュールなどが審査の対象となる。ファイナリストは事前にメンタリングセッションを受けていることもあってか、プレゼン内容はいずれもわかりやすかった。全体的な印象として、主婦を対象とした仕事マッチングサービスやウエディングのプランニングをマッチングするなど、マッチングを提供するプランが多かった。最優秀賞に選ばれた「GOFITURE」も海外から日本に訪れる外国人向けに人間ドックなど日本の高品質な検診サービスを提供する、医療ツーリズムのためのマッチングシステムを提供するサービスだが、医療機関と旅行会社の両面でリサーチし、実現性の高さを裏付けていることやサービスベータ版の完成度の高さ、そして、グローバル展開のしやすさなどが評価されていた。
立命館の大学生が提案する「まなびや」は、学生講師がiPadの教材アプリを使って介護施設を訪問し、認知症予防コミュニティを創造するというプランで、これも一つのマッチングビジネスといえる。海外からの応募でプレゼンも英語で行われた「Gochiso」は、ずばりホームパーティとおいしい食事を提供するシェフをマッチングするフード版Airbnbを自称しており、外国人が多く住む神戸市においてテストランディングすることで、ビジネスの実現を目指すという点が評価された。タクシー検索サービス「みをつくし」もいわば介護タクシー版Uberといえるプランだ。日本独自でしかも地域密着型のサービスになるが、多様な気候と風土が一つになっていることから“日本の縮図”とも言われる兵庫県でビジネスプランを練り上げることで今後の新展開につなげたいという点が、最終選出のポイントになったようだ。
5チームの中でもっともITビジネスらしいプランだったのが、下着のオンラインフィッティング「FITTY(フィッティー)」で、購入者からのフィードバックを元に的確なサイズを手に入れられるシステムを構築し、下着を販売するECサイトに提供するというもの。店頭でのセルフフィッティングもでき、システムは英語化すれば日本以外の展開も可能だ。すでにベータ版の運用も始めており、従来の約12倍の買い上げ率を達成している。
今回選出された5チームは3カ月のプログラムを経て、5月上旬に開催されるデモデイで投資家やベンチャーキャピタルらに向けて事業を発表する。そこで、起業に向けた事業プランがどこまでブラシュアップされるかが注目される。
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