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なぜ高校生は「カップル共同垢」を作るのか--彼らを縛る同調圧力とは - (page 2)

別れた後にリベンジポルノ、セクスティングにつながる例も

 「カップル共同垢」で検索すると、「別れました」というものがアンド検索の候補として表示される。どんな仲むつまじいカップルでも別れることはある。「カップル共同垢の結末」というものが話題になったが、カップル共同アカウントが別れた後に「別れました」と報告している例が多いことを揶揄していた。別れた後は、アカウントを削除する例もあるし、放置している例も見られる。


結果的に「別れました」と別れを報告しているカップル共同垢も多い

 付き合っている時や仲が良い時は共有も楽しいが、別れたり心が離れた後はB子のように苦しめられることもある。人間関係が悪くなるだけでなく、共有した情報によって被害を被ることまであるのだ。

 マカフィーの「2013年版 恋人、人間関係、テクノロジーに関する調査」(2013年2月)によると、前述のように恋人とメールや写真を共有する例は多い。個人情報を含むメールや写真を送ったことを後悔していると回答したのは、全体の1割、未婚女性に限っては2割に上った。実際に共有データを悪用したりされたりした経験がある回答者は全体では約5%、未婚女性では12%にも上った。

 調査では全体の約3割が、「交際相手や配偶者の通話記録やメール、写真をチェックしたことがある」、同じく3割が「相手のSNSをチェックしてしまった」と回答している。別れた後にリベンジポルノやセクスティングにつながる可能性もあり、共有は多くの問題を孕んでいるというわけだ。

 実際、MixChannelで元恋人とのキス動画などを公開していたある女性は、新しい恋人ができた後に「キス動画の存在を新しい恋人にばらす」と脅されたという。IDやパスワードは大切に管理すべきものだ。たとえ信頼している相手でも、安易に共有すべきではない。SNSやブログ、メールなども個人につながる大切な財産であり、共有すると後々問題が起きる可能性があることは知っておこう。

 周囲の大人は、10代の若者たちに、同調圧力は従わねばならないものではないということを知らせてあげてほしい。周囲から浮くのを恐れて望まないことをしても、問題が起きた時に被害を被るのは自分だ。あくまでも自分の意志によって行動すべきだということを伝えてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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