Wearable Tech Expo 2015

スマートグラスでIT基盤「保守運用」を革新--NTTデータの遠隔支援システム

 9月7~8日に開催されたウェアラブルテクノロジのカンファレンス「Wearable Tech Expo in Tokyo 2015」。「スマートグラスがエンタープライズコンシェルジュになる!?~スマートグラスを活用した作業支援システム~」と題したセッションでは、NTTデータの小山武士氏が、スマートグラスを活用した現場作業の遠隔支援システムを披露、解説した。

  • NTTデータの小山武士氏

 スマートグラスなどのウェアラブルデバイスは、コンシューマ向けのデバイスだけでなく、エンタープライズとしての利用価値があると小山氏。その特徴として「ウェアラブルデバイスを身につけることで遠隔でのコミュニケーションが可能になる」と話す。

 データ通信やシステム構築を主な業務として取り組んでいるNTTデータは、ITシステムの保守運用業務の改善を大きな課題として捉えていた。同業務は、コスト削減が求められている一方で、オペレーションによるシステム障害をなくすことが求められている。

 現状の保守運用作業は、作業現場の作業者や作業の確認者など複数人が現場に出向くなど、人件費の問題を抱えている。現場に出向くことでの作業コスト削減の困難や作業確認の習熟度の違いもある。

 「作業者データセンターでの機器の接続や設置、配線作業などで両手がふさがる作業も多い。同時に、作業中に作業指示書やマニュアルを見たり、作業結果をメモしたりするなど、それぞれの動作が連動せず、作業を一時中断して手を離す必要があった。こうした作業公立や安全面などを向上させるために、ハンズフリーで操作できるスマートグラスのウェアラブルデバイスの可能性を考えた」(小山氏)。

 そこで、NTTデータが社内IT基盤の保守運営業務にウェアラブルデバイスを活用するために研究開発を推し進め、生み出したのが「スマートグラスを用いた現場作業の遠隔支援システム」だ。

 同システムは、現場の作業員にスマートグラスを装着させ、作業の確認者は遠隔からパソコンなどを通じてコミュニケーションやサポートを行う。スマートグラスを装着した作業者は、デバイスに付属しているカメラやマイクを通じて、現場の様子を画像や映像などで確認者に随時送信する。


遠隔作業支援システムの概要

インターフェースのイメージ

 確認者はそれらの画像にコメントを付けて返信するなどし、高度な作業指示を遠隔でサポートできる。また、ディスプレーには音声認識を通じて手を使わずにメールを開封、送信したり、タスクリストやマニュアルを確認できる昨日が備わっている。作業者がスマートグラスで確実に操作できるよう、音声認識や音声コントロール、首振りによるジェスチャーコントロール、頭の傾きを検知するジャイロマウスなど「直感的なインターフェース」を心がけたという。


確認者の作業画面。作業者からのメールなどをそれぞれ確認し、通話やテキストメッセージを通じて指示を出す

作業者のスマートグラスに映し出される確認者からの指示内容。会場ではリアルタイムでスマートグラスによる遠隔指示の様子をデモしていた

遠隔での確認者による、作業者から送られた画像に対して画像への指示を書き込んでいる様子

 「ベテランの作業者の動きを撮影しておくことで、作業をトレースするなど全体の習熟度を向上させるきっかけにもなる。また、確認者はそれまで一人の作業者につきっきりだったが、これによって複数の作業者の様子を確認するなど、業務の効率化や高度な指示が可能になり、コスト削減にも貢献できる」(小山氏)

 今後、NTTデータの国内の保守運用業務における利用シーンを拡大するだけでなく、中国やインドなどのオフショア開発拠点、海外グループ会社向けシステムのIT基盤の開発や保守運用作業にも同システムを導入していく計画。

 また、保守運用業務だけでなく、ビルや各種装置、ガスや水道などのインフラなどの運用や保守、点検作業などにも導入を検討している。NTTデータは、これらの遠隔作業支援システムを含めたウェアラブルデバイスを活用したシステムを通じて、2018年までに50億円のビジネス創出を目指すという。

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