Wearable Tech Expo 2015

いつでもどこでも相談できる「バーチャルナース」が医療をより身近にする

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 9月7~8日に開催されたウェアラブルテクノロジのカンファレンス「Wearable Tech Expo in Tokyo 2015」。「ヘルスケアのためのウェアラブル:デバイスが真の臨床価値を生み出す時」と題したセッションでは、Sense.ly CEO&共同創立者のAdam Odessky氏が、診察や治療分野においてウェアラブルから提供できる有効なデータとその活用方法について紹介した。


Sense.ly CEO&共同創立者のAdam Odessky氏

 FitbitやApple Watchなどのウェアラブルデバイスの発展に大きく貢献する分野といえば、日々の健康管理や予防医療といったヘルスケアだろう。さまざまな生体データを収集し、それらをもとに新しい医療制度改革を推し進めようという動きがある。Adam氏もその1人だ。

 基本的に、いまのウェアラブルデバイスでは測定やモニタリングはするものの、患者の様子をもとに適切な情報提供や処方はできていないため、医師のワークフローに組み込むことができないとAdam氏は話す。いかにして患者のデータを医師が把握し、服用や血圧の測定、運動の指示といった適切な処置をするか。そこにウェアラブルやバーチャル技術を適応させていくかを考えなければならないという。

 そこで、当初Sense.lyが開発したのは、アバターやKinectを活用した在宅医療を支援するシステム「DocPal」だ。人の動きでコントロールするKinectや音声認識エンジンをもとに、在宅でも診療できる環境を構築。画面には医師や患者のアバターが映し出され、血圧測定などの指示をして、測定したデータを送信すると実際の医師がそれらのデータをもとに解析し適切なアドバイスをする。

 Kinectなどによって、実際の映像をもとに患者の様子を見ることができ、かつ遠隔医療が可能な仕組みだ。新しい症状や別の病気が発症したら、アバターの問診に応えるだけで、後で実際に医師が情報を見ながらビデオ通話で診療もしてくれる。「遠隔医療の仕組みを構築し、患者の様子をモニタリングしながらコミュニケーションをして、適切なアドバイスやアラートを通じて患者の改善をしてきた」(Adam氏)。

人工知能を活用したバーチャルナース「Molly」

 そんなSense.lyが新たに開発したのは、人工知能を活用した医療相談や健康管理をするバーチャルナースの「Molly」だ。Mollyは、アプリを通じて糖尿病や慢性疾患の患者の日々のデータを収集し、数値をもとにバーチャルアシスタントのナースが患者に対してアドバイスをしてくれる。

 患者は、アプリを立ち上げて症状を話したり、各種ウェアラブルデバイスによって収集する生体データを送信することによって、それらを総合的に医師が判断し処置する。データをもとに医師が診断し、特定のデータが出ると、アラートを患者に通知する仕組みだ。


バーチャルナース「Molly」

 「Bluetoothと連携した血圧計のデータをアプリにリアルタイムで送信したり、血圧計の操作方法もバーチャルナースが教えてくれる。患者の日々の話し方や体調からも症状を事前に予測することができる。アプリを使っていつでもどこでもバーチャルナースを携帯することで、医療が患者の身近になる環境を作ることができ、何かあれば医師に連絡しやすくもなる。同時に、ウェアラブルにすることで日常の情報や生活習慣と病気との、より密接な関係も見出すことができる」(Adam氏)。

 サービスを使った90%以上もの患者が、ナースというバーチャルなアバターがいることで患者の体調管理や医療に対するモチベーションを維持することができるとし、デジタルでのコミュニケーションだからこそ、人というUIが大切だとAdam氏は話す。

 今後は、サービスを拡充するのと同時に臨床的な価値を高め、より医療現場の実践的な部分にまでテクノロジを浸透させていきたいとしている。膨大なデータを収集し、医師にとって利用価値の高いデータを集めていきながら、患者が気づくよりも早く症状を把握するなど、ウェアラブルが予防医療としての価値を高める手段となるよう展開していくという。

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