Wearable Tech Expo 2015

VR、一般普及のための模索がビジネスチャンスを拓く--VRビジネス最前線 - (page 2)

VRの一般普及へのさまざまなアプローチが今後の課題

 VRを活用したさまざまなケーススタディが登場してきているなか、いかにビジネスにつなげていくかは大きな課題といえる。藤山氏はこれまでの経験から、360度の映像や視界を後ろまで見る人は少なく、能動的に映像を体験するユーザーも少ないとし、見せるところを限定させることで開発コストを下げられるかもしれないと指摘。「全天周は雰囲気作りでメインは目の前の映像だから、そこに注力すべきかも」と話す。村多氏も「見るところを決めないと、全部を演出しようとするとかなりハードルが上がる。ユーザーの視点の動きのデータが貯まれば、どこを見てどこを見ないのかが分かるとより効率的に作業できるかもしれない」と同意した。

 また、デジタル上の処理としてもユーザーが見えていないところまで処理するよりも見えているところだけを処理することでデータ量を抑えることも可能だと藤山氏は指摘する。

 「ストリーミング配信などのように、部分的エンコーディングしていくことで処理速度を高めれば演出方法の幅が広がるかもしれない。人間のリアルな目の焦点がそうであるように、見ているところは鮮明だがそうでないところは不鮮明にすることでデータを抑えられ、逆に見ている部分の解像度を高めることができる。ユーザーが次に見えるところに移ったら処理をするような映像の開発方法を試してみたい」(藤山氏)

 ビジネス展開の一つの鍵として、VRに対する一般の理解と普及だ。大塚氏はいかにハードルを下げてVRという存在を知ってもらうか、を地道にアプローチしていくという。自身もフィリピン留学VRを開発するまでVRに接したことがなかったとし、いかに気軽に体験できるための場を用意するかが求められると語った。藤山氏は、「いまはまだ趣味レベルや一部の人たちにしかリーチできていない。VRの可能性を広げるためにも強烈なユーザー体験やアトラクションをもとによりニッチな領域で攻めることでそこから次第にマスへと広がっていくのではないか」との見解を示した。

 また、藤山氏はVRを一度でも体験したユーザーとまだ体験していないユーザーではVRに対する理解度に差があると指摘。VRへの理解度の乖離をどう縮めるか、PRやマーケティングの視点も含めて、その乖離を埋めることこそがビジネスチャンスの可能性やVRという領域全体の新たな可能性を広げるきっかけになると見る。

 村多氏は、現在はまだVRを活用したプレイヤーの数の少なさを指摘。さまざまな分野や領域を横断し、複合的なチームでVRをプラットフォームにした連携を図ることが重要だと話す。同時に、プロモーションとしての活用方法の事例を作り、マネタイズを本格的に考える人材が投入できるほど社内や業界への理解を浸透させるためのアプローチが必要だとした。

 企業内における理解として、大塚氏も村多氏に同意し、「最先端のテクノロジーは、どこかコストがかかるというイメージにとらわれがちだが、技術が進みコストが下がってきている普及期において、いかにチャレンジした事例を作り出せるかが重要」と語った。

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