カシオ計算機は、表示部やキー部分、質感などにこだわり抜いた電卓のフラッグシップモデル「S100」を9月30日より発売した。市場想定価格は2万7000円(税別)。
同社は1965年9月に発売した世界初メモリ付き電子式卓上計算機(電卓)「001」から50周年を迎えた。S100は、50周年に向けて2年前から構想をあたためてきたものだという。
素材にはアルミニウム合金を採用。表示部と入力キーが収まるメインボディ部は8mmの板から時間をかけて削り出す。表面には耐食性を高めるアルマイト処理と質感を増すヘアライン仕上げ、ボディ外周には光沢を放つダイヤカット加工、切捨てや四捨五入の設定を行うセレクターには輝きのあるスピン目仕様を施すなど、従来とは一線を画す存在感を特長とする。
こだわりの電卓が生まれた背景には、ぞんざいに扱われがちな電卓に対する危機感があったという。電卓は今や、100円ショップでも販売され、“身近すぎる電子機器”とも言える。
100円で売られている電卓と、量販店などでカシオが販売する電卓の違いはなにか。正確性と耐久性だという。「見た感じは同じように作られているが、計算が合わないなどの不具合ある。正しい計算をして正しい数字を表示するのが電卓の基本。ボタン一つとってみても、使っていると押したのに戻ってこないということが起きる。カシオ計算機には、こういう設計をすればいつまでもスムーズに使えるというノウハウがある。まじめに真摯(しんし)に作っている」とカシオ計算機 羽村技術センター CES事業部 第二開発部 21商品企画室の大平啓喜氏は説明する。
こだわりのスマートフォンケースなど、所有しているモノでライフスタイルを語るような風潮がある中で、「電卓に限っては、実務でいいやとぞんざいに扱われるのが気になっている」と語る。
「S100は、いい電卓として世の中に販売されている製品ををさらに極限まで正統進化させたもの。それなりのお値段だが、使うたびに喜びを感じるようなもの。贈られてうれしい、使ってもうれしいものに仕上げた」(大平氏)
表示部には業界初となる両面反射防止コーティングを施したディスプレイウィンドウを備え、光の映り込みを軽減。さらに高いコントラストを可能にするFSTN液晶により、優れた視認性を実現した。
キー部分にも業界初V字ギアリンク薄型アイソレーションキーを採用。キーを押したときに横にぶれないV字ギアリンク構造により、キーの高さを抑えた薄型デザインと安定感のあるキータッチを両立。加えて、キーの間隔を空けて配置するアイソレーションキーにより、より打ちやすした。
エキスパートの電卓の使い手は、見ないでキーを打つという。キーがきちんと入ったかどうかわからないと、不安にさせてしまう。キーを離す途中から次のキーを押しはじめても数値をしっかり認識し、正確な早打ちを可能にした。「電卓メーカーだからこそ、こういう提案ができるのではないか」と語った。
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