Google フォトを「歓迎」している--アイファイ CEOに聞くビジネス戦略

 “Eyefi”といえば、その名を冠した無線LAN機能搭載のSDカード「Eyefiカード」が代名詞だが、近年クラウドサービス「Eyefiクラウド」を発表するなど、ハードウェアのみならずサービスにも力を入れてきた。そんなEyefiが、ハードウェアビジネスからソフトウェアビジネスへと、ビジネスモデルを転換するという。

 今回の発表にはどのような背景があるのか。また今後の戦略について、Eyefi CEOのMatt DiMaria氏とアイファイジャパン代表取締役の田中大祐氏に話を聞いた。

--ビジネスモデルを転換するということですが、具体的にどういうことでしょうか。

Eye-Fi Mobi Pro 32Gバイト(9980円)/16Gバイト(7980円)にはEyeFiクラウド1年分の利用権が付く
Eye-Fi Mobi Pro 32Gバイト(9980円)/16Gバイト(7980円)にはEyeFiクラウド1年分の利用権が付く

田中氏:ビジネスモデルの転換は、つまりクラウドとハードウェアが逆転したというメッセージでもあります。5000円(Eyefiクラウドの利用権1年分)が7000円の製品(Eyefi Mobi Proカード)に付属しているわけです。そうなると、カードの価値は2000円しかないのかという話になってきます。その辺を含め、10月にEyefiがクラウドに大きくシフトするというアナウンスを出す予定です。

Matt氏:9月10日に「Eyefi Mobi Proカード」の16Gバイト版を出しましたが、Eyefiにとってのハードウェアビジネスというのはもちろん「Eyefiカード」になります。ビジネスモデルの転換によって、いきなりEyefiカードがなくなるということはありませんが、次のハードウェア計画は定まっていない状態です。

--ソフトウェアビジネスとは、どういったものになるのでしょうか。

Matt氏:Eyefi Mobi Proカードの16Gバイト版と同時に、「GoPro」のようなEyefiカードが入っていないカメラからも、Eyefiクラウドへと画像が送れる機能についてアナウンスしました。

 これは、スマートフォン(アプリ)を経由してEyefiクラウドに直接画像が送れるという機能です。また、GoProだけでなく、オリンパスのミラーレスカメラ「OM-D E-M5 Mark II」などにも対応しています。Eyefiにおけるソフトウェアビジネスへの転換とは、クラウドビジネスにシフトするということです。

--ビジネスモデルの転換として、どういった戦略を考えているのでしょうか。

増え続けるさまざまなキャプチャリングデバイス
増え続けるさまざまなキャプチャリングデバイス

田中氏:われわれの戦略は、イメージングプラットフォームになるということです。元々デジタルカメラ用の製品を作っていましたから、デジタルカメラというのは重要なイメージングプラットフォームです。またスマートフォンが普及しましたので、スマートフォンも重要なデバイスと考えています。

Matt氏:車載カメラやウェアラブルカメラ、ドローンなど、さまざまなキャプチャリングデバイスの登場にも注目しています。それぞれのメーカーがそれぞれの制御・管理アプリを出しているのが現状で、メーカーが同じでも製品によって異なるアプリを使うといったケースもあります。

 その結果、撮影した写真は色々な場所に保存されるという状態が作られているわけです。

 今までわれわれは、カメラとスマートフォンで撮影された写真をまとめて管理しましょう、という考えだったのですが、さまざまなキャプチャリングデバイスにも対応しましょうということです。

 たとえば、無線LAN機能を搭載していないカメラについては、Eyefiカードというソリューションを提供できますし、GoProのように無線LAN機能を搭載しているデバイスに関してはスマートフォンを通じてクラウドに転送できます。スマートフォンで撮影した写真は、アプリを使って簡単にEyefiクラウドへと写真をアップロードできます。

GoPro HERO4を使ってiPhone版のEyefi Mobiに転送
GoPro HERO4を使ってiPhone版のEyefi Mobiに転送

田中氏:スマートフォンについては、iOS/Androidだけでなく、Windows Phoneにも対応しています。Windows、Mac、ウェブといったさまざまな環境からEyefiクラウドが利用できるわけです。

Matt氏:無線LAN搭載カメラへの対応という意味では、今後旧機種を含め、対応製品を公表していきます。これはカメラ側ではなく、Eyefi側(プロトコル)だけで対応できるからです。

 カメラによってWi-Fi(転送)のクセが異なりますが、われわれはEyefiカードを開発しているので、ファイルの書き方など各メーカーのクセというものを知っています。

 また、カメラにEyefi機能を搭載していただいているという関係から、カメラメーカー様にそういった情報を聞きやすいというのもあります。なので、具体的にはいえませんが、過去の製品で特に人気のあるモデルについては、対応する予定です。

EyeFiクラウドで一元管理へ
EyeFiクラウドで一元管理へ

--Eyefiカードを設定することで、例えばルータなどを経由してEyefiクラウドに写真を転送できるわけですが、Eyefiカードを使わない場合、必ずスマートフォンなどの端末が必要となります。今後、カメラ側でクラウドの設定をすればアップロードできるようなアプローチをメーカー側にしているのでしょうか。

Matt氏:会議を行うと、必ず出てくる話題です。やはり、カメラのスイッチを入れるだけで通信を行うというのは、大変良いユーザーエクスペリエンスなので、ぜひ実現したいと思っています。どうすれば実現できるかという答えはわかっているのですが、そこに具体的な計画がないという状態です。

--イメージングプラットフォームへの切り替えというのは、どのタイミングから想定していたのでしょうか。

Matt氏:私は2013年の4月にEyefiに参加しました。2014年4月にはEyefiクラウドを発表(米国、日本では7月に開始)しましたが、実は2013年4月のEyefiに参加した日から、イメージングプラットフォームへの戦略的切り替えを構想、方向転換を想定していました。

米Eyefi CEOのMatt DiMaria氏
米Eyefi CEOのMatt DiMaria氏

田中氏:今までは、WindowsにしてもMacにしても、そしてスマートフォンだとしても、PCにソフトウェアを入れてくださいというスタイルでしたが、ウェブアプリをネイティブに近づけることで、ウェブだけで完結できるようになりつつあります。

--ウェブアプリで完結できるようになると、PC向けのソフトウェアの扱いはどのようになるのでしょうか。

田中氏:まず、カメラからの転送というのは、ネイティブアプリ(ソフトウェア)にしか対応していません。ウェブアプリについては、新機能を追加していくことはありますが、それと同じようにネイティブアプリにも機能が追加されます。

 Eyefiクラウドはカメラメーカーの引きが良く、Mattが来日した理由もそこにあります。昨今、IoT(Internet of Things)が注目されていますが、IoTというとどうしても自社で完結させることが多いと思います。Eyefiもそうでした。

 日本のカメラメーカーは素晴らしい製造技術を持っていますが、その先の部分、クラウドという部分ではなかなか難しい。そこで、われわれがIoTの“Internet”の部分を受け持ち、カメラメーカーには“Things”の部分、よりよいカメラ作りに専念してもらう。そういったコラボレーションがしやすい環境ができてきた。

 今までハードウェアがあったことにより、メーカーが「内蔵するからもういいよ」となっていたことが、ソフトウェアビジネスに転換することにより、パートナーシップを加速していけるという意図があります。

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