ディー・エヌ・エー(DeNA)は8月7日、2016年3月期第1四半期(4月~6月)の決算を発表した。売上収益は377億2100万円(前年同期比5.3%増)、営業利益は40億800万円(同42.5%減)、当期利益は22億1700万円(同45%減)で増収減益。前四半期比として見ても売上収益は5%増、営業利益は13%減と増収減益でとなった。欧米開発拠点(West)の体制やポートフォリオ見直しにともなう費用に約27億円が発生し、それが主な減益要因となった。
ディー・エヌ・エー代表取締役社長兼CEOの守安功氏は主力のゲーム事業について、国内におけるコイン消費は前四半期の370億から346億と減少しているものの、アプリマーケット経由におけるコイン消費は90億から94億と増加。ブラウザの減少は想定の範囲内のものだという。
「ファイナルファンタジー レコードキーパー」が堅調となっているほか、自社オリジナルタイトルとしてリリースした「戦魂-SENTAMA-」は継続率も高く好調。有力なIPタイトルのように垂直的な立ち上がりではないものの、継続的な運用施策で売り上げを拡大できる手応えを感じているとした。さらにバンダイナムコエンターテインメントとの共同開発となる「スーパーガンダムロワイヤル」が今秋サービスインの予定。特にガンダム関連タイトルは期待度も高く、垂直的な立ち上げでさらなる売り上げ拡大を狙うという。
こと国内のアプリゲーム市場は成熟期を迎えており、メガヒット以外の売り上げ規模も拡大している。売り上げのトップ100位以内に入れるようなタイトルであるならば、開発や運営コストによるものの採算ラインとして成り立つとの見方を示した。またアプリゲーム市場のプレイヤー(ゲームメーカー)の上位は余り変わり映えがしないなか、売り上げとして10位以内に入ることができたと、積み重ねてきた成果をアピール。ビジネスとして成立するタイトルを継続的にリリースし、なおかつタイトル収益の長期安定化を図る運用力にも自信を見せており、アプリ市場で着実に売り上げを積み上げられる体制が構築できつつあるとした。
海外について欧州は前述のように体制見直しによって一時費用を除いては収支が改善。中国においてはコイン消費が振るわず、前四半期の39億円から29億円と減少。もともと減少そのものは見込んでいたものの、その想定幅よりも落ち込んだとしている。第2四半期以降からは「トランスフォーマー」をはじめとした、現地でも認知度がトップレベルにある有力IPタイトルを投入することでトップラインを伸ばしていくという考えを語った。
守安氏は任天堂との協業施策を説明する際、任天堂の代表取締役社長を務めた岩田聡氏が7月11日に死去したことについて触れ、3月の共同記者会見で同席したこともあり「あまりにも突然のことで、訃報を聞いたときは耳を疑った」と一言。続けて「我々としても岩田さんの思いを実現していきたい。任天堂と協力して、この協業は絶対に成果をあげていくと強く思っている」と意気込みを語った。すでに発表しているアプリ第1弾の年内配信や2016年度末までに5本程度を展開する計画、今秋開始を目指しているメンバーシップサービスなど、現場における実務面については「混乱なく進行している」と説明した。
第2四半期は売上収益を前期比9億円減の368億円、営業利益を26億円増の66億円を見込む。売り上げ面では国内コイン消費はおおむね横ばい、海外は新規タイトルの端境期から減少を見込むという。利益面では欧米の体制見直しの一時費用約27億円が剥落することを増益の主要因としている。
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