「The London Heist - Getaway」はカーチェイスのスリルと銃撃戦が楽しめるコンテンツだ。隣にいる運転手となにやら話をしているときに、バイクや自動車に乗った敵から銃撃にあい、こちらも銃を持って応戦するというもの。モーションコントローラを両手に持つことによって、ゲーム内にも自分の手として登場し操作する形だ。
特徴的だったのは、本当に自分の手のように操作する感覚だ。銃と弾丸のマガジンはダッシュボードの中にある。ダッシュボードを開け銃を握り、そして撃つ。弾が切れたらマガジンをつかみ、銃のグリップ部分に挿入するかのように近くに持ってきて補充する。ガンシューティングゲームのリロード操作はさまざまな方法があるが、本物であればこういう操作だろうと思えるリロードを行ったと感じている。
ハイウェイを疾走するスピード感もさることながら、銃撃戦も迫力がありスリル満点。こちらに向かって銃を向けて撃ってくる怖さも感じつつ、応戦することでのかっこよさも感じられ、映画の中の世界に入った気分。一歩先行くガンシューティングだと感じた。
Project Morpheusにおけるデモコンテンツでもひときわ知名度の高い、バンダイナムコエンターテインメントの「サマーレッスン」。E3 2015に出展したものはプレーヤーが日本の片田舎に住んでいる家庭教師として、アメリカから旅行中のミュージシャンに日本語を教えるという内容だ。このひとつ前のバージョンとして、同じ部屋にいる黒髪の日本人のキャラクターとコミュニケーションをとるという内容のものもあったのだが、筆者はこちらを体験しておらず、今回がサマーレッスン初体験。いざ体験するとその知名度と評判の高さに納得し、さらに言葉で説明することの難しさを痛感する内容だった。
青空に海。そしてどこか古びた日本家屋という景色もいい眺め。そんな縁側でギターを弾く女性。名前はアリソンというらしい。そんなアリソンが流ちょうな英語とたどたどしい日本語で語りかけてくる。これまでの3Dの人間表現はとこか彫刻的に感じられるところがあるが、そういった違和感みたいなものを感じさせない。見るからに質感のある肌にきれいな髪、そして澄んだ瞳。美しい女性と思いつつ、たどたどしい日本語でしゃべる姿にかわいらしさも感じる。このあともいろいろと動きながら語りかけてくる。最初こそきょろきょろと周りの風景を見ていたが、次第にじっと目を見て話を聞くように。今振り返ると、早い段階から視線をそらせない気持ちになっており、その時点でもうこの世界に入りこんでいたのだと思う。
特に忘れられないのは、日本語が書かれた教科書を見せながら教えてもらおうとするシーンだ。アリソンが隣に座るのだが、本当に隣に座ったような感覚を覚えた。人間同士が一定の距離まで近づけばある種の緊張感を感じると思うのだが、まさにそれを感じた。初対面で見慣れない、なおかつ異性とあればその緊張感も増す。一緒に教科書を見るとなれば寄り添うような距離にもなる。本当にドキドキした。
もうひとつよく覚えているのは、筆者の視線の動きだ。アリソンが隣に座ったときに、顔を注視し続けられないのだ。現実世界で見知らぬ女性を見続けるのは失礼にあたるということは説明するまでもないと思うが、その理性が働く。
後に同席していたバンダイナムコエンターテインメントの開発者から、視線を感知するので実際に見続けると不快な反応を示すと教えてもらったが、いざ試せるかと言われると数回程度では自信がない。開発者の方も、いきなり試せるユーザーはあまりいないと語っており、それだけアリソンに対して“人間である”という感覚を持ってしまっているからだろう。
ほかにもアリソンが何か話しているときにはアリソンの目を見るのだが、目を見て話すのは会話の基本的なマナーであるのは理解しつつも、異性の目を近距離で見続けるのは緊張するというもの。それぐらい、そこに人間としての女性がいると思えるぐらいの存在感だ。約5分程度で1回だけの体験だったが、それだけでも魅了されるほどのもの。筆者のVR体験がそれほど多くないのもあり、また前のバージョンとの比較はできないが、アリソンの存在感は飛び抜けていると言っていい。そしてそれはムービーを見ただけでは伝わらない。これに触感まで加わるような未来がくるとしたら……。そんなことを考えた体験だった。
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