10代男子は、このように違法行為を通して自分の自己顕示欲を満たす傾向にある。それでは、10代女子はどうなのだろうか。
ニコニコ生放送やツイキャスなどの動画配信サービスが10代女子に人気だ。ところが、動画配信サービスでも問題が起きている。動画配信者は増えており、ただ女子というだけではなかなかアクセスが集まらなくなってきた。そこで10代女子たちは、動画タイトルに「JK(女子高生)」「JC(女子中学生)」「JD(女子大生)」などとつけたり、露出を匂わせる単語を入れたりしている。そうすると、主に男性からのアクセス増が見込めるというわけだ。
動画では、まるでタレントのような口ぶりで、視聴者に話しかける10代女子が目立つ。動画には、Twitterアカウントなどでログインした視聴者がコメントを投稿できるようになっており、配信者とコミュニケーションがとれる。配信動画を見ると、「可愛いね」などと言われて喜んでいる配信者をよく見かける。配信者はもっと見てほしいため、視聴者からのリクエストに対して積極的に応えるようになる。
最近の動画配信者は、顔が分からないようにマスクをつけて配信することが多い。ところが、筆者が見た女子高生2人組の配信では、最初こそマスクをつけていたものの、「マスクとってよ」「絶対可愛いでしょ」と言われているうちにマスクを外していた。マスクをとった後は、案の定「やっぱり可愛いね」と男性視聴者たちから絶賛されており、配信者も嬉しそうにしていた。
マスクを取るだけならそれほど問題はないかもしれないが、中には下着姿、入浴姿などを配信する例も多い。動画配信サービスではそのような姿での配信は禁じられており、一定期間放送ができなくなる処分などが待っている。そのうえ、動画のコピーがあちこちに保存されて、誰でも見られる状態となってしまうのだ。
これも、やはり承認欲求や自己顕示欲に起因した行為だ。彼女たちは、多くの視聴者に見てもらったり、他の配信より多くのアクセスを求めて、そのような行動に出てしまうのだ。
男女どちらのケースでも、確かにネット界隈では注目を集め、その瞬間はいい気分を味わえるだろう。しかし、男子のケースでは、自分には前科がつき、他人には迷惑をかける。女子のケースでは、後で後悔してもそのような動画や写真は消すことができなくなってしまう。長い目で見ると、全く意味がないどころか自分を苦しめる行為だ。
10代の頃はまだ何者でもないため、自己承認欲求や自己顕示欲が暴走しがちだ。認めてもらえる喜びは何者にも代えがたく、暴走が加速してしまうことがある。10代のうちは若気の至りもあるものだが、ネット上で暴走すると人生を棒に振ることになりかねない。
政府が「ハッカー」を採用するという話がある。2015年度から、情報セキュリティ技術に長けた「ハッカー」を、サイバーテロ対策を統括する内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)の職員や研究員として、25人前後採用すると発表されている。セキュリティの問題はそのくらい最重要課題となっており、ハッキング能力もこのような場面なら生かせる可能性がある。
周囲の大人は子どもたちの危険な兆候をいち早く察知できるよう、普段から様子をしっかり観察すべきだろう。暴走はできるだけ早く止めてやり、能力を建設的に活用できる場に導いたり、自己顕示欲を満たす別の可能性を示してあげる必要があるのではないだろうか。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
先端分野に挑み続けるセックが語る
チャレンジする企業風土と人材のつくり方
日本のインターステラテクノロジズが挑む
「世界初」の衛星通信ビジネス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
NTT Comのオープンイノベーション
「ExTorch」5年間の軌跡