KADOKAWA・DWANGOは7月9日、新たな教育事業として、単位制による通信制の高等学校の設立に向けて準備を進めていることを発表した。インターネットで双方向性の授業を受けられる「ネットの高校」として2016年春に開校する計画だ。同社によれば、3月に沖縄県に学校設置などに係る計画書を提出しており、現在は審査中だという。
KADOKAWA・DWANGOの取締役相談役である角川歴彦氏は「社会の課題を解決するのが(高校設立の)テーマ」とし、同社代表取締役社長の川上量生氏は「教育がネットに移行していく中で、KADOKAWA・DWANGOが総力を挙げれば理想の学校が作れるのではないか」と設立意図を説明した。
生徒が自身でやりたいことを見つけて得意分野を伸ばせる環境を整える。学校教育法で定められた教育課程に加え、全国の地方自治体と連携してさまざまな職種の職業体験を実施する。生徒の社会性を育む取り組みであると同時に、若手の人材が不足している地方とのマッチングを図る狙いもある。
また、ドワンゴ傘下のバンタンと共同で、社会に出るためのスキルを学ぶ場として、プログラミングなどのIT教育に加え、有名ライトノベル作家やゲームクリエイター、デザイナー、経営者など各業界で活躍するプロによる課外授業を開く予定。
さらに「超会議でお好み焼きを売る屋台など出せたら面白い」(同氏)と、リアルの場での学校行事として、同校の文化祭とニコニコ超会議を連携させることも考えているという。
同校には、教員と生徒が双方向でコミュニケーションできる学習プラットフォームを導入する。川上氏によれば、niconicoのプラットフォームをそのまま使うのではなく、開発中の「ニコ生(ニコニコ生放送)の次期バージョン」を導入するという。このプラットフォームは2016年初春に発表するとしている。
なお、このプラットフォームやバンタンと共同展開する課外授業を、他校の生徒や社会人が聴講できるような仕組みを作ることも検討しているそうだ。
同校の生徒は上限を設けずに募集する。具体的な授業計画や学費などは明かさなかった。基本的な授業はネットの動画学習を通じて開講し、一定日数は沖縄の校舎でスクーリング(校舎での対面授業)をするものとみられる。なお、校舎の場所に沖縄県を選んだ理由を、川上氏は「ほかにも候補地を検討したが、どうせ行くなら沖縄がいいのでは」との考えがあったことを笑いながら明かした。
2014年10月に経営統合した、ドワンゴとKADOKAWA。両社はもともと教育事業を手掛けていた。ドワンゴはバンタンを買収する前から、声優や俳優の養成学校「ドワンゴクリエイティブスクール」を運営してきた。一方、KADOKAWAは2014年9月、海外コンテンツスクール事業として、アジアの10の国と地域に「KADOKAWA Contents Academy」を開校。日本のエンタメコンテンツなどの制作技術を伝えてきた。両社は今後、そこで培ってきた知見や人材を「高校」に投入していく。
◇経営統合発表時のレポート
ドワンゴ川上氏に惚れ込む角川会長--“天才”に新会社託す
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