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温泉地で1シーズン約6500万円の効果--Squareに聞くスマホ決済がもたらす地方活性化 - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2015年06月19日 14時04分
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野沢温泉村では、1シーズン約6500万円の決済機会

 2014年11月、長野県が主催する小規模事業者向けの「モバイル決済の導入セミナー」が野沢温泉村で開催された。そこでSquareは講師をしたという。

 時松氏によれば、多くの自治体は外国人旅行者に向けた対応として「多言語」「Wi-Fi」「ATM/クレジットカード決済」の対応を優先課題として対策を検討しているという。セミナーでは、参加者の熱気を帯びていてさまざまな質問が飛び交ったと振り返った。

 実際に効果もあった。このセミナーのあと、野沢温泉村では約30店舗がSquareを導入を決めた。この2014年から2015年の冬季シーズンでは、約6500万円の決済があった。全ての店舗ではないものの、導入前まではクレジットカード決済そのものを断っていた店舗も少なくなかったことから、経済効果としてのインパクトも十分にあったとしている。

 2015年は京都府内の観光地域でセミナーを開催したほか、他の自治体からもセミ ナーの依頼が来るなど注目の高まりを感じるという。

2020年は「お金の在り方が変わり、流れが加速するのでは」

 2020年に向けた決済システムの市場動向について、時松氏は「数年で状況が変わるご時世でもあり、この分野も変化が早い。5年先となると、まだ見ぬ決済システムも出てくる可能性も否定できず、市場規模などを予測するのは極めて困難」として明言は避けつつも、2つのトレンドが進行し、その結果「お金の在り方が変わる流れが加速するのでは」とは推察する。

 まずひとつはクレジットカードのICチップ化ならびに、それに対応した利用環境の普及が挙げられる。経済産業省が2014年7月にまとめた「クレジットカード決済の健全な発展に向けた研究会」の中間報告書には、クレジットカードのICチップ対応については、2020年を見据え100%を目指し、環境を整えていく必要性をまとめている。クレジットカードも磁気式、決済端末もICチップに対応していないものも少なくない現状ではあるが、その状況も改善する可能性は高いとみている。ICチップ化が進めば利便性や安全性の向上によりクレジットカード決済の活性化につながるものと見ているという。

 もうひとつがキャッシュレス化の進行。日本では以前から「おサイフケータイ」などに代表されるモバイル端末での電子マネー決済が浸透し、現在では交通系ICカードなども普及しつつある。そしてこの先、Appleのモバイル決済サービス「Apple Pay」の存在もある。Squareも、6月8日にNFC対応の新リーダーを今秋にも提供すると発表したばかりだ。Apple Payの日本展開は正式なアナウンスこそないが、iPhoneの普及率が高い日本で展開される可能性は高いと推察され、そうなったとき日本におけるスマートフォンを活用した決済環境が一変することも想定される。クレジットカードの活用もあいまってキャッシュレス化が進み「貨幣や紙幣自体はなくならないが、お金の在り方はだいぶ変わるのではないか」(時松氏)という。

  • Squareアナリティクス

 キャッシュレス化は“お金をデータ化する”ということにもつながる。そしてデータ化することによって、お金の流れを可視化できることも加速する理由でもあるという。Squareではクレジットカード決済システムだけではなく、店舗の売り上げデータをリアルタイムで分析するSquareアナリティクスも無料で提供。支払いによって生み出され蓄積したビッグデータをマーケティングに活用することもできる。

 長野県にある家具店FOLKLOREでは、物品の売り上げが夕方以降に増えることに気付き、営業時間を1時間繰り下げたところ売り上げが向上。また都内のFabCafeは、アイスコーヒーが期待するほど売れてないことに気づき、名前を変えるなどメニューを刷新したところ売れ出したという。フライアー氏は支払いシステムも重要だが、そこで得られたデータを加盟店の売り上げ拡大につなげていくことも重要だとした。

 この先のSquareとしての取り組みについては、まずクレジットカード決済が浸透していない地方の店舗で普及に努めること。そしてICチップ内蔵のクレジットカードやNFC、さらにその先にも登場するであろう新技術に対応すること、そして漠然とした不安のあるクレジットカードやネット決済に対する安全性の向上ならびに啓発をしていくという。

 少し余談になるが、日本ではモバイル決済システムとして知られているSquareだが、「FinTech」企業として存在感を強めている。FinTechは「Finance」とITの「Technology」を組み合わせた造語で、金融×ITテクノロジ分野で活躍するスタートアップを指す。もっとも、FinTechだけの企業ともまた違い、本質的なところでは商活動ありかたそのものをシンプルに変えるサービスを目指しているという。その意味では、ほかのスマートデバイスを活用した決済サービスを提供する事業社と競合する関係にはないとフライアー氏は語った。

 FinTechを象徴する取り組みとして、米国では「Square Capital」と呼ばれる小規模店舗への融資サービスも行っている。これもお金の流れを可視化できるからこそ実現したもので、利用企業の決済データを分析することにより融資そのもの判断や金額をスピーディにでき、従来の金融機関ではできなかった領域でのサービスを可能としたという。2014年5月からスタートし、すでに2万超の加盟店に合計1億米ドルの融資実績があるという。各国の商習慣にあわせたり認可が必要になることもあり、日本での展開は予定されていないが「環境が整い認可が得られるようであれば、やらない理由はない」(フライアー氏)としている。

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