NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズは6月4日、革新的な技術やサービスを持つベンチャー企業とのパートナーシップで新サービスの創出を目指すプログラム「Villageアライアンス」の第2期(Season 2)を5月12日から募集しているのに合わせて、同社にてプログラムに参加を希望するベンチャー企業を集めたミートアップイベントを開催した。
Villageアライアンスは、NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズが展開しているオープンイノベーションの取り組み「ドコモ・イノベーションビレッジ」に2014年12月から新設されたコースで、主にミドルステージ以降のベンチャー企業を対象に、あらかじめ提示された募集テーマへの参画を募る。ドコモが持つテクノロジーや顧客基盤、販路や営業力といったアセットと、ベンチャー企業が持つアイデアや技術の独創性、サービス開発の瞬発力といった要素を掛け合わせ、多様化する顧客ニーズに対応する新たなサービスを共同開発していくことが狙いだ。
2015年2月まで募集したVillageアライアンスのSeason 1では、ドコモのサービス事業部門や法人部門などから8つのテーマが用意されたが、6月30日まで募集するSeason 2では、ドコモの各事業部門だけでなく、ドコモの関連会社、NTTグループの各社からもテーマが公開され、全部で13テーマに対してベンチャー企業の参画を募集する。
13種類のテーマの中でも注目したいのは、ドコモの顧客向けサービスの中核である「dマーケット」の新サービス開発を募集するテーマだ。NTTドコモ マーケットビジネス推進部の田保祐一郎氏は、ドコモのポータルサイト「dメニュー」による強力な送客基盤、契約数6300万(うちdマーケット有償サービス契約数1188万)という顧客基盤、ドコモケータイ払いやドコモポイント支払といった決済基盤などのビジネスアセットを説明。その上で、ドコモのサービス基盤とベンチャー企業のアセットとを組み合わせることで、新たなサービスを提供したいと述べた。
また、同じくdマーケットのサービスとして「dブック」を担当する堅田真人氏は、「ドコモも、かつてはNTTグループの中で“ベンチャー”だった。その時の精神を忘れずに、ベンチャー企業と新たな価値を創造したい」と抱負を述べ、顧客活性化、リアルとの連携、出版サービスなどの分野での協業を目指す考えだ。
一方、着用するだけで心拍数の取得が可能な機能性素材「hitoe」を活用した新しいサービスの開発を募集するテーマでは、hitoeの心拍数モニターや加速度センサーによって得られたデータをAPIによって提供し、エンターテインメント分野への応用、スポーツ分野への活用といったヘルスケア分野だけでない様々な方向性で、新たなサービスを模索していきたいという。ベンチャー企業との協業を進め、今年12月には商品やサービスを市場に送り出したい考えだ。
法人分野で注目したいのは、従業員向けECサービス(BtoE)を開発するというテーマ。説明した法人営業部の桧皮貴史氏は、同社が法人向けに提供する商材として「Office 365」や「Evernote」といった通信を必要とするサービスだけでなく、今後はオフィスサプライ、ファイナンス、保険、ビジネスマッチング、アウトソーシングといった非通信系の商品・サービスに拡大していきたいという方向性を示し、その一環としてBtoEビジネスの開発を検討すると説明。ベンチャー企業との協業によってサービスが開発された際には、まず全国のドコモ社員向けに提供して有用性を検証し、その後全国の法人営業販路を活用して拡販していくという。
今回募集する13テーマのうち、NTTドコモ以外の企業では、ドコモ傘下で野菜の通販事業を展開するらでぃっしゅぼーや、ヘルスケア事業を展開するドコモ・ヘルスケア、非接触ICチップ事業を展開するフェリカネットワークス、NTTグループからNTTコミュニケーションズとNTTぷららが参画。ドコモ・ヘルスケアは、ドコモの販路やオムロンの健康計測デバイス、ドコモ・ヘルスケアが蓄積しているビッグデータを活用してシニア世代の健康管理を支援するサービスのアイデアを募集するほか、NTTコミュニケーションズは、同社のクラウドストレージサービス「マイポケット」を活用した“動画を楽しむ”ことをテーマにした新サービスのアイデアを募集する。
Villageアライアンス Season 2の募集について、NTTドコモ スマートライフ推進部アライアンス推進担当部長の鈴木康広氏は、「ドコモの中期目標では“+d”をテーマにパートナー企業との協創により新たな価値創造を推進していくという方向性を示した。ドコモ・イノベーションビレッジにおけるベンチャー企業との協創によって、多様化する顧客ニーズに瞬発力をもって応えていきたい」とコメント。また、NTTドコモ・ベンチャーズ 取締役副社長の秋元信行氏は、「ユーザーニーズの変化が激しい状況において、ドコモ単体ではスピード感をもってすべてのニーズに応えていけない。このプログラムを通じてドコモとベンチャー企業が対等な立場で新たな価値を協創する“Co-Innovation”を推進したい」と語った。
イベント終了後に秋元氏にお話を伺ったところ、Villageアライアンス Season 1の成果については、「複数社がドコモ関連部と協業に向けて議論を継続中であり、非常に楽しみな状況である」とコメント。また、今回ドコモ以外の企業が数多く参加した点については、「グループ全体で幅広い分野における協創を促進するためのプラットフォーム・プログラムにしていきたい」とイノベーションビレッジにおける新たな展開に期待を寄せた。
Villageアライアンス Season 2の募集は6月30日15時に締め切り、その後3カ月程度で協業企業を決定。そして、協業の方向性や目標を設定し、3カ月から1年かけてサービスの開発や実証実験、POC(コンセプトの有用性検証)を行い、商用化を判断していくという。なお、このミートアップイベントは6月16日に2回目の開催を予定している。
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