スカパーJSATは5月28日、東京・江東区のスカパー東京メディアセンターで「4Kメディアセッション」を開催、スカパー!サービスにおける4Kの最新状況と今後の方針などについて発表した。
2014年6月から「スカパー!プレミアム」での4K試験放送を開始し、この3月からは「スカパー!4K総合」「スカパー!4K映画」の2チャンネル体制を整備。サービスに対応したテレビ端末も内蔵型を含め各メーカーが続々と用意しており「ハード面におけるメーカー各社の努力に対し、我々は放送で応えていく」(スカパーJSATの代表取締役執行役員社長高田真治氏)と力強い方針を示した。
6月には、4Kテレビ市場でトップシェアを誇るソニーがスカパー!プレミアムチューナ内蔵の4K放送、配信対応液晶テレビ「ブラビア」3シリーズ7機種を発売。「いよいよ4K時代の到来を実感いただけるのではないかと思う」(高田氏)と期待を込めた。
一方、2015年夏にも第二次中間報告が示される見通しの総務省フォローアップ会合については「4Kへ転換を図る上では従来ビジネスの維持も必要であり、放送設備更新を含めたマイグレーションのプロセスを考慮することが必要」(高田氏)とコメント。将来に向けた準備が進められている衛星の左旋(偶数チャンネル)利用の受信環境整備期間も含め「長い目で見る必要がある」とし、2020年東京五輪を意識した拙速なロードマップ前倒しの傾向について慎重な姿勢を示した。
会場には、6月発売予定のソニー液晶テレビ「BRAVIA」4K放送対応モデル「X9400C/X9300C/X8500C」を展示。4K高画質プロセッサ「X1」によって実現される高画質技術と、ハイレゾ対応を含め技術を結集した高音質技術によって「コンテンツ制作者の情熱やこだわりをお客様にお届けできるテレビ」(ソニーマーケティングホームエンタテインメントプロダクツマーケティング部ディスプレイMK課統括課長・白拍子誠一氏)と担当者が胸を張る自信作で、チューナ内蔵型ならではの優れたUI、多チャンネルサービスとの親和性も備えていた。
スカパー!プレミアムでは、6~7月にかけて大型4Kコンテンツを積極的に投入していく。6月4日は「完全生中継『Mr.Children Tour 2015 REFLECTION』ツアーファイナル」では、スカパー!が保有する4Kカメラ全35台を集結させた大規模ライブ中継を予定。同6日はサッカー欧州CL決勝の録画中継、7月11日には「ポール・マッカートニー OUT THERE in 日本武道館2015」を放送、音楽・スポーツの臨場感を4Kで届ける。
一風変わったコンテンツとして注目されるのが、7月26日放送予定「4Kで甦る世紀のご成婚パレード~TOKYO 1959~」。56年前、日本の家庭用テレビ普及に大きく寄与したとされる「ご成婚パレード」の4Kリマスター版で、フルハイビジョンでも活かしきれなかった当時の35mmフィルムのポテンシャルを引き出し、高精細な4K画質でパレードの様子と当時の東京の街並みを振り返ることができる内容だ。
4Kコンテンツの今後について、スカパーJSAT執行役員常務・放送事業本部長の小牧次郎氏は「花鳥風月だけではなく、中身で楽しんでもらえるコンテンツを用意していきたい」と方針を示す。映像の美しさを強調するだけではなく、その高画質によって様々なコンテンツの魅力をさらに引き出していくという考え方だ。
一例として挙げられたのが、3月29日放送のプロ野球「阪神タイガース対中日ドラゴンズ」中継の一場面。1回表中日の攻撃、走者一・二塁で中前適時打を放ち二走が本塁生還したが、三塁を狙った一走を挟殺するというシーンだ。俯瞰的にグラウンドを捉えていた4Kカメラは、中堅手の本塁送球と遊撃手の送球カット、そして走者を見て三塁に送球する場面を「ひとつの画面で」表示していた。
「阪神の遊撃手・鳥谷選手の冷静な判断が光るシーンですが、これが2K以下の映像ならば、ボールの動きが捉えきれない。通常は各場面のズーム映像となるところを俯瞰で全体表現し、プレーの全体像を把握することができたのは4K高画質あればこそ」(小牧氏)。こうした特長は様々なコンテンツにおいて発揮できるとし、その魅力をしっかりと伝えていくことが4Kのさらなる飛躍の鍵を握るとの考えを示した。
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