カシオ計算機は5月12日、代表取締役として樫尾和宏氏(現:取締役 専務執行役員)が昇格すると発表した。
1988年に就任以来、27年間に渡って務めてきた代表取締役 社長執行役員の樫尾和雄氏は、代表権のある代表取締役 会長に就任予定だ。6月26日に予定する定時株主総会開催後の取締役会にて正式決定する。
樫尾和宏氏は1966年1月22日生まれ、49歳。1991年にカシオに入社し、2014年より現任。交代の理由について「さらなる成長を遂げるための新たな経営計画を強いリーダーシップで推進できる強力な経営体制を構築するため」としている。
和雄氏は記者会見で「2018年3月期に向けて新3カ年計画を立て、営業利益を前期(368億円)比で倍増させ750億円を目指している。自分でやってみたいと考えたが、そんなに長く社長をやっているわけにいかない。会社のためにも新社長のためにもなると思い、新体制で挑むことにした」と説明した。
和宏氏を選んだ理由について、「長年一緒にやっているから、彼ならできるだろうと思った。新計画を打ち合わせする中で『やります』と言った。候補の中から、実力の中で達成できるとみて選んだ。私ができると思った人」と語った。和雄氏は今後1年は目標に向けて共に進める考えだ。1年後に経営権を譲るかについては「状態を見て考えさせてもらう」とした。
和宏氏は、現状の課題と今後の展開について、「事業の3本柱は時計、コンシューマ、システム。しかし、時計に偏りがちでシステムがあまりうまくいっていない。カシオでないとできないもの。建築家の近澤可也氏の言葉で、オハイオ(面白いものを創る、初めてのものを創る、意味のあるものを創る)──があるが、オハイオに通じるものを作り続けていきたい」と説明した。
今後予定している製品について、和雄氏は3つの戦略を明かした。「人のマネではなく、初めて出す新規事業は3つある。1つは販促ツールのサイネージ。もう1つはリスト型の端末で、2016年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)に出す。時計としての価値観を失わずに、各社のコンセプトとは違う、あくまでも時計らしい端末を出す。さらに新規事業として人材開発を売っていきたい。新入社員の入社から、1人前になるにはかなりの時間がかかる。水準を超える人材を2年でできないかというもの。人材育成は時間がかかるものという既成概念があるが、それを取り払ってシステム化を考えている。カシオらしいものとしてパッケージ化し、イノベーションシステムを開発する。単に事業に貢献するだけでなく、社会貢献がしたい」
過去最大の功績と失敗を問われ、「一時期の売上げは6300億円まで行った。携帯電話などデバイスの事業は大きな事業だが、激烈な競争でもあった。果たして勝てるのか?そう考え、アライアンスを組んだが連結から外れ、売上げは落ちた。今のままでは満足できない。カシオには知名度も販売力も資産もある。さらなる発展ができると確信している。たくさんの資産を活用すればさらに業績を向上できる。二人三脚で本格的に進めていきたい」と語った。
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