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メイク動画で人生変えた女性起業家ミシェル・ファン--日本でも活動へ

藤井涼 (編集部)2015年04月14日 08時30分
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 YouTubeに投稿したメイクアップ動画で、レストランのウェイトレスから数百万人のファンを抱えるスターへと転身――そんなサクセスストーリーを体現したのが、ベトナム系アメリカ人のミッシェル・ファンさんだ。歌手のレディー・ガガや、モデルのミランダ・カーに“変身”する動画なども投稿し人気を集めている。ファンさんのYouTubeチャンネルの登録者は760万人を超え、動画の視聴回数は11億回にのぼる。


ミッシェル・ファンさん

28歳で1億2000万ドルを稼ぐ女性起業家

 ファンさんが初めてYouTubeに動画を投稿したのは、まだ学生だった2007年。今でこそメイク動画は一般的になっているが、当時はほとんど存在せず、メイクのテクニックを知るには化粧品店のスタッフなどに直接教えてもらうしかなかったという。そこで、「もしかしたら(メイク動画は)1つのマーケットになるかもしれない」と感じたファンさんは、学校から支給されたPCで投稿を始めた。

 動画の視聴数は少しずつ増えていったが、最初の2年間は「全くお金にならなかった」とファンさんは振り返る。状況が好転したのは2008年。動画の視聴回数に応じて広告収入が得られる収益化プログラム「YouTubeパートナープログラム」が開始され、1日に25セント、1ドル、5ドルと収入が増えていった。そして、1日に25ドルを稼げるようになったとき、「ウェイトレスの仕事をやめてコンテンツ作りに専念することにした」(ファンさん)という。


 それから5年以上が経ち、ファンさんは世界的なスターになった。28歳となった現在は、YouTubeでの活動を続けるかたわら、月額10ドルで化粧品のサンプルを毎月届けるサービス「ipsy(イプシー)」を運営する。米国とカナダで事業を展開しており月間に100万個を配送、その売上げは年間で1億2000万ドルにも及ぶという。現在は200のブランドが参加しており、リピート率は9割というから驚きだ。

 「影響力は新しい『通貨』。新しいビジネスを作れるし、既存のビジネスを壊すこともできる」(ファンさん)。

日本の優秀なクリエイターを支えたい

 アニメやゲームなど日本の文化にも親しみを持ち、初音ミクやセーラームーンのメイクアップ動画も投稿しているファンさん。日本で活躍する顔まねメイクのタレント「ざわちん」のことももちろん知っているという。今回が3度目の来日となるが、今後は日本のYouTuberを支える活動もしていきたいと話す。


 米国では、複数のYouTubeチャンネルと提携して、資金やプロモーション、デジタル著作権の管理などを支援する組織であるマルチチャンネルネットワーク(MCN)が増えているが、ファンさんは「彼らのモデルは1つのネットワークで複数のチャンネルを束ねているだけ。クリエイターのサポートは何もしていない」と指摘する。

 そこで、ファンさんはマルチプラットフォームネットワーク(MPN)である「ICON」を立ちあげた。MCNでは100以上のクリエイターをまとめているが、ICONでは少人数の優秀なクリエイターに絞って、ブランド立ち上げなどのためのリソースを提供する。「ブティックのようなこだわりのあるコンテンツを作れるようにする」(ファンさん)。また、YouTubeだけでなくテレビなど複数のプラットフォームで展開できることも特徴とした。日本では秋から冬にかけて展開する予定だ。

 ファンさんは、動画内で使用したBGMが著作権を侵害したとして、2014年8月にUltra Musicに訴えられた。現在はまさに訴訟が進行中とのことだが、ICONなどの活動を通じて、「法的に問題があるコンテンツなのか、使っても良いものなのかを明確にすることで、新たなクリエイターを守りたい」(ファンさん)という思いもあるようだ。


 また、化粧品の定期配送サービスipsyも日本で展開したいという。まずは、日本でエンジニアなどインフラ構築のためのパートナーを探し、“ハブ”となるスタジオも設けたいとしている。米国では好調だが、日本でまったく同じモデルが通用するとは思っていない。日本の消費者に受け入れられるサービスとなるよう、「6カ月くらい日本に住んでみたい」と話すなど、ファンさんは本気だ。

 「最初に動画を投稿した頃は、ビジネスウーマンと呼ばれるなんて思ってもみなかった。いまは世界中でひらめきをビジネスにできる時代なので、自分のやりたいことを仕事にして追求することが大切。失敗は悪いことではなく成功するためのツールなのだから」(ファンさん)。

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