Apple Watchが4月24日に発売することが決まり、注目が高まっているスマートウォッチ。メールの通知を受け取ったり、音楽を再生したりするスマートフォンの“補助デバイス”という見方が強いが、このスマートウォッチを使って新たなコミュニケーションの形を提案するのがメッセンジャーアプリ「Nain」だ。3月初旬からAndroid Wear向けに提供されており、4月にはApple Watch向けにも提供する予定。価格は無料だ。
Nainは、家族や友だちを選んで「ご飯へ行こう」といった“合図”を送ると、相手のスマートウォッチがそれに合わせて振動するアプリ。これによりアイコンタクトのように手首のバイブレーションで、画面を見なくても意思疎通ができるようになる。「食事中」など家族や友だちの今の状況が一覧表示されるため、連絡しても問題ないかを事前に把握できる。
「スマートフォンからスマートウォッチに変わっても、たくさん通知がきてしまったら意味がない。我々がやろうとしているのは振動の回数などで、その人にとって本当に重要なメッセージかどうかを伝えること」――こう話すのは、アプリを開発したNain 共同創業者 CEOの山本健太郎氏だ。
山本氏は、パイオニアに14年間勤めカーナビなどのコネクテッドカー事業に携わってきた人物。クルマの運転中は電話やメッセージがきてもスマートフォンを操作できずストレスが溜まることがある。これを解決するために、「Apple CarPlay」や「Android Auto」など車内でのスマートフォン活用を推進してきたという。
その中で、オフィスでの会議中や電車での移動中、歩行中など、日常生活でも周囲への配慮が必要なシーンでは、スマートフォンによる電話やメールでのコミュニケーションが取りづらく、運転中の拘束されている空間に近いことに気づいたのだという。そこで、マナーをわきまえながら相手に思いを伝えられるNainを着想したと説明する。
また、スマートフォンを取り出してメッセージを送るまでには、ロックを解除する、アプリを起動するなど6回以上のアクションが必要で、1日に平均125回もスマートフォンをポケットから取り出しているという調査結果もある。Nainでこうした動作を省略することで、日頃スマートフォンで感じているストレスをなくしたいという思いもあるという。
山本氏が描くのは、ウェアラブル端末とIoT、そしてロボットがつながる社会だ。たとえば、帰宅中の父親がスマートウォッチで「これから帰ります」とメッセージを送ると、自宅にいるヒト型ロボット「Pepper」が家族に音声で伝える。それを聞いた母親がPepper経由で「牛乳を買ってきて」とメッセージを送り、それが父親のスマートウォッチに届くといった、“スマートフォンが必要のない日常”を作っていきたいという。
「スクリーンから人々を解放することで、もっと生活は豊かになる。ウェアラブルデバイスなどのセンサ同士がつながることでシームレスな世界が広がっていく。その取っ掛かりとして、まずはNainでコミュニケーションの側面からアプローチしたい」(山本氏)。
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