「クルマ×IoT」が生み出す新ビジネス--識者が持論を展開

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 NTTドコモは2月24日、「ドコモ自動車ビジネスソリューションサミット」を開催した。パネルディスカッションの第1部は「クルマ×IoTが生みだす新ビジネス」をテーマに、識者が現在よりも一歩先の世界について議論した。

 モデレータをジャーナリストの神尾寿氏が務め、パネラーとして情報通信総合研究所 グローバル研究グループ上席主任研究員の岸田重行氏、ジャーナリストの西田宗千佳氏、パイオニアのテレマティクス事業部事業企画部部長の種澤成治氏、ドコモM2Mビジネス部長の谷直樹氏が登壇した。


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IoTはM2Mと何が違うのか

――神尾氏 : まず、現在のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)についての総括をお願いします。

岸田氏 : IoTという言葉が使われ始めたのは2014年ぐらいから。今まで通信できなかったものが通信できるようになってきたことから、IoTを一種の産業革命であるという論調も出てきています。そうなってくると、通信サービスというものが単純に人と人を繋ぐのではなく、社会全体が繋がっていくという世の中になっていくわけです。そして、世界中で市場を開拓しようと動いています。市場自体が成長期であるともいえます。

――神尾氏 : ジャーナリストという立場からみたIoT市場の現状、グローバルでの動向についてどう認識しているのでしょうか。


モデレータの神尾寿氏

西田氏 : IoTという名前の付いた製品が増えているのが実情です。2008年から2011年まではスマートフォンの普及期であり、スマートフォンにどのような価値を出せるかということがポイントだったわけですが、現在ではスマートフォンの計算力、通信力があることが前提で、それ以外の機器や環境を我々の生活の中でどう役立てるかが重要になっています。

 スマートフォンと繋がる機器も必要になるし、スマートフォンに対して情報を出す機器も重要になる。インターネットと繋がって今自分の目の前にはないけれど、スマートフォンを使って情報がわかる。コントロールができるというのも必要になります。つまり、スマートフォンから先の世界が必要になる。それを相対的にカバーするのがIoTであるといえると思います。そうなると、とても幅広いジャンルになるので、その中でビジネスを考える人も増えてくるのではないでしょうか。

――神尾氏 : M2M(Machine to Machine)というキーワードがあります。M2MとIoTというのは似ているようで違うモノなのか、それとも同じモノなのでしょうか。


ジャーナリストの西田宗千佳氏

西田氏 : 通信をしているという意味では違わないと思います。ただし、M2MをIoTとしてみた時には、どの軸でみるかで大きく違います。たとえば駐車場を考えた場合、駐車場の事業者と駐車場の機械という関係があります。つまりB2B(Business to Business)なわけです。

 ところがIoTで考えた場合、自分を主体とするため、自分が持っている機器が通信して自分に対してサービスが行われる。これが、たとえば自動車であるならば、自動車の中にM2Mモジュールが組み込まれていることで“自動車メーカーと自動車”の間でなんらかの価値が生まれるのではなくて、自動車が通信をすることで自分に対して最終的な価値が生まれるという風に考えたほうがよいと思います。

――神尾氏 : M2MというとB2Bの考え方でしたが、IoTになるとそこにコンシューマというユーザーの立ち位置が組み込まれるわけですね。

西田氏 : もちろんB2Bというのがほとんどではあると思うのですが、B2B2C(Business to Business to Consumer)の考え方であったり、B2Bでできあがったものから別のサービスを作るといった視点が必要になります。

クルマとIoTで世の中はどう変わる

――神尾氏 : 国内外のイベントをみると、クルマ関連イベント外でクルマを取り扱うことが増えたように思います。例えば帯電話関連の展示会であるMWC(Mobile World Congress)では、フォードが新型のフォード・フォーカスを発表するなど、クルマとITの世界が近づいたように感じます。

西田氏 : ここ数年間、B2B市場向けの案件としてCES(Consumer Electronics Show)のひとつのテーマが自動車でした。2015年は特に運転支援、情報支援といった意味で自動車にいかにITのテクノロジを盛り込むかがポイントになっていました。自動車のためのセンサを作りますだとか、自動車のための高度なセンサを作るとこういう世界ができますよというのを家電メーカーがアピールする。そういったことがとても多くなっています。

――神尾氏 : サプライヤーの視点ではIoTをどう考えているのでしょうか。


パイオニアのテレマティクス事業部事業企画部部長の種澤成治氏

種澤氏 : カーナビなどを発売して20年以上になりますが、今までハードウェアが組み込みのソフトウェアで成り立っていましたから、地図の更新を除き、バージョンアップというのはほとんどありませんでした。ところが昨今、クラウドの情報を取り入れるだとか、進化度合いをキャッチアップしていかなければならないという意味で、いよいよ車載機がコンピュータ化される時代になってきたのかと思います。

 方向性としてひとつはエンターテインメントに対して高い要求がありますから、スマートフォンを介して音楽などの情報を持ち込む、あるいはネットワークに接続してクルマに取り込んでいく。もうひとつは、安全運転支援としての情報が量・質ともに変化していきますから、それをどう処理してどうクルマにフィードバックさせるかということが焦点になってきています。

――神尾氏 : 先ほど総括していただいたIoTですが、グローバルな視点で市場をみた時、その中でのクルマという位置付けについて解説をお願いします。

岸田氏 : 情報通信という目線でクルマをみると、まず産業規模が大きい。そして通信との親和性が高いと思います。そういった意味でここ数年、世界的にみても認識を改められています。特にIoTという話になると、無線ネットワークに繋がりやすくなっていますから、見方のひとつとして申し上げると、クルマ(ドライバー)が受ける情報とその情報を出す側という双方向性があるということです。双方向性があるということは、スマートフォンで行っていることがクルマでもできるようになる。今まさにそういったタイミングになっているのかなということです。

――神尾氏 : スマートフォンの登場により、いろいろな情報が集まり、また活用されています。つまり、ビッグデータというのがキーワードのひとつになったわけですが、ビッグデータという切り口が加わった時、IoTとクルマの進化をどのように捉えているのでしょうか。

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