日本初、エンジニアが考える「新しい働き方ハッカソン」

石澤知広 (技術部)2015年02月27日 12時34分

 東京都渋谷ヒカリエ内のコワーキングスペース「Cretive Lounge MOV」において2月18日、「エンジニアが考える『新しい働き方ハッカソン』」と題するイベントが開催された。このイベントは、「エンジニアに自由な働き方と創造の場を」というコンセプトを掲げる、リベラルエンジニアズの代表取締役社長である金子周平氏が企画・主催したもので、第1部がゲストトーク、第2部がハッカソン、第3部が懇親会という3部構成だった。


全工程終了後に参加者、運営スタッフで記念撮影

「正社員」か「フリーランス」か

 第1部のゲストトークでは、ランサーズのCTOである田邊 賢司氏とSportier,LLCの創業者である平光昌寛氏、朝日インタラクティブの技術部シニアマネージャである石澤知広(筆者)の3名で行われ、モデレータは金子氏が務めた。

 まず1人あたり5分間を使い、自身のバックグラウンドやそれぞれが運営に携わるサービスの概要を説明した後に、クラウドソーシングや自由な働き方が台頭しつつある中で、「今後のエンジニアはどういった形態(「正社員」か「フリーランス」か)で働いていくべきか」や「キャリア形成のためにどのような事に取り組んで行くべきか」といったテーマでクロストークされた。

 ランサーズを運営する田邊氏は、正社員かフリーランスかのどちらがいいのかということではなく、ランサーズのようなプラットフォームが整備されることで働き方の選択肢が増え、エンジニアの可能性が広がってきていると説明した。また、平光氏は将来正社員という雇用形態は無くなる可能性があるとした上で、エンジニアは広い視野で仕事をしていくべきだと語った。

 石澤は田邊氏の意見に同調した上で、人それぞれのキャリアやバックボーンによって雇用形態は選択できることが理想であるが、クラウドソーシングなどの台頭は価格面や品質面で脅威ととらえ、企業内で働くエンジニアはその対策をしていく必要があると発言した。

 また、田邊氏は、「2015年までに国内の正社員比率が5割を下回ると言われる中、フリーランスという働き方を選択する人は増えてくると考える。そうすると、これまで企業が担っていた教育機能の恩恵を受けられる人は少なくなり、ITエンジニア業界全体の技術力の低下にもつながる可能性がある。意欲のある人には組織に属している、いないに関わらず、スキルをきちんと得られる仕組みが必要であり、ランサーズは、クラウドソーシングの業界リーダーとして教育機会の提供など、フリーランスが育つ環境整備に対しても力を注いで行きたい」とも語った。

 「キャリア形成のためにどのような事に取り組んでいくべきか」というテーマには、英語は必須ではないかとの石澤の発言に対し、海外での起業経験もある平光氏は、「英語は必須ではない。むしろ高いスキルがあるのに、コミュニケーション力が不足しているがために仕事につけない人材の方が多く、コミュニケーション力が大切だ」と語った。

 また平光氏は、自身が創業したSporierが行う「ニート採用」のことにも触れ、ユニークな雇用形態や育成についても語った。

 第2部はイベント参加者たちによるハッカソン(実際は画用紙にアイデアを書き出すアイデアスケッチと、その後チームでスピードストーミングを行うアイデアソン)が行われ、参加者それぞれが「新しい働き方」をテーマにアイデアを書き出し、議論を深めた。

 金子氏は今後も定期的にこういったイベントを開催し、エンジニアが幸せになり、社会に貢献できる新しい働き方を浸透させていきたいと語った。

田邊賢司

ランサーズ株式会社

最高技術責任者(CTO)

2014年4月にランサーズ株式会社に参画し、CTOに就任。日本最大級のクラウドソーシングプラットフォーム「ランサーズ」の運営において、エンジニア部門の戦略策定や組織マネジメントを総括している。豊富なマネジメント経験をもとに、仕事のインフラとして成長している「ランサーズ」の開発強化に取り組んでいる。
ランサーズ参画以前は、2012年8月にスマートフォン向けアプリ開発事業を行う、株式会社トライフォートの創業メンバーとして、¬新規プロジェクトの企画、サービス戦略の策定、チームメンバーの立ち上げに携わり、創業時から1年半で、150人までの組織に成長させた。アプリランキングのサイトで常にTOP10入りをするようなゲーム開発にも携わり、運用統括本部長として、多くのプロジェクトを成功に導いた。

平光昌寛

Sporier,LLC

創業者 マネージャ

慶応義塾大学 出身。複数の創業(Sportier,LLC 創業者,株式会社Knowledge Database 取締役,株式会社Media Index 取締役)を経験した後、StartupWeekendTokyo発のサービス「ただ肉」を創業。現在は、株式会社パソナ パソナキャリアカン パニーにて新規事業開発顧問としてプロジェクト参加メンバーに様々なスキル・ノウハウを教えている。
エンジニアと支援者をマッチングする「ただ肉」というサービスの企画もおこなっている。

金子周平

株式会社リベラルエンジニアズ

代表取締役 CEO

俳優、SI系エンジニア、選挙出馬の経験を経て、2014年5月「会社員」×「フリーランス」な新感覚で働ける会社として、株式会社リベラルエンジニアズを立ち上げ。会社員とフリーランスのあいだの領域を完成させ、ITエンジニアの第三の働き方としてプラットフォーム化することを目的に、現在、IT業界の働き方改善スタートアップの代表として、「新しい働き方」を広めるべく精力的に活動している。
※リベラルエンジニアズは、社員をソロプレーヤーに見立てた、エンジニアの芸能事務所的なプラットフォーム

近池秀夫

Personal Venture Capital

代表

GMOインターナットグループで複数のベンチャー立ち上げに携わり、現在は「すべての人に『スタートアップ』を」ミッションに、企業内の新規事業、新規ブランド立ち上げ、スタートアップ企業のブランディング主軸にした支援、スタートアップしたいアイディアを3ヶ月目安にプロトタイプ、ファーストユーザー獲得までを、高校生から、市場問わずにハンズオン型の支援型で、数多くのスタートアップ起業を支援中。 また、業界に特化したハッカソンイベントや、企業内のスタートアップ体験型研修など、スタートアップカルチャー、コミュニティー普及をライフワークとして活動中。

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