リアルタイムの動画学習サービス「schoo WEB-campus」(schoo)を運営するスクーは2月10日、既存投資家、電通デジタルホールディングス、リンクアンドモチベーション、ベンチャーキャピタルや複数の事業者などから、3億4000万円を調達したことを発表した。同社はこれまでに1億7000万円を調達しており、総額では5億1000万円となる。
インターネット生放送を活用した動画学習サービスであるschooは、受講生が講師とチャットでコミュニケーションしながら授業を受けられることが特徴。30代前半のIT系ビジネスパーソンを中心に、現在13万人に利用されているという。過去3年間で無料開講された授業数は2000以上におよぶ。また、月額525円のプレミアムプランでは1400以上の録画授業が見放題になる。
schooでは、2014年6月からカリキュラム化された授業を学ぶ「学部」システムを導入しており、これまでに「WEBデザイナー学部」「スタートアップ学部」「ビジネス英語学部」などがオープンしている。1月には「プログラミング学部」も新設した。特に人気の高いWEBデザイナー学部には現在1万2000人が登録しており、このうちの2割が有料プランを利用。ウィークリーアクティブユーザー率も3割におよぶという。
同社が注力してきたのは、エンジニアなど人材や学習コンテンツが不足している領域へアプローチすること。そして、今後人材が求められるであろう“未来の領域”を先に定義していち早くカリキュラムを作ることだ。これまでにも、「グロースハッカー」や「宇宙起業家」など、ユニークな養成カリキュラムを提供してきた。
今後は新たなステップとして、3つの施策を進めるとスクー代表取締役の森健志郎氏は語る。1つ目は、法人や自治体へのコンテンツやソリューションの提供だ。同社では個人ユーザーを対象にサービスを提供してきたが「企業研修など組織単位での学びの課題を解決したい」と森氏は話す。すでにいくつかの企業や団体と話を進めているという。
2つ目は課金のコンテンツ。現在、月額525円の有料プランを提供しているが、これとは別に大学などとより専門的なコンテンツを作成して配信しようというものだ。そして3つ目が、他の学習サービスとの連携による相互送客。たとえば、Skypeを使った1対1のレクチャーや、クイズを使った理解度チェックなどのコンテンツも用意したいという。
今回の出資先ともさまざまな領域で連携できると考えている。リンクアンドモチベーションはパソコン教室の「アビバ」を傘下に持つ。そのため、「schooでExcelやWordの使い方を学んで、分からないところは全国のアビバ店舗へ直接いって個別サポートが受けられるといった形もありえる」(森氏)。
また、電通デジタルホールディングスは、大学の車内広告やパンフレットなども手がけているため、schooが今後、大学とのコンテンツ作成を進める際などに連携できる。また、電通が広告主のスマートデバイスメーカーの製品を教育現場などに売り込む際に、一緒にschooのプログラムコンテンツを提供するといった可能性もありえるという。
「思っていた以上に学びの課題は根深く、できることはもっとたくさんあると気づいた。最初は個人向けの楽しい学習サービスとして提供していたが、楽しいだけでは最後まで続かないこともある。これまで培ったノウハウやエッセンスを生かしながら、より産業に入り込めるサービスにしたい」(森氏)。
約1年半前に1億5000万円を調達した際にはわずか4人だったスクーの従業員は、いまではアルバイトを含めると36人まで拡大している。3月にはより広いオフィスへの移転も予定しているという。これまではプログラマやエンジニアを中心に採用してきたが、今後は経営陣の強化にも注力する。
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