肝心な音質面はどうだろう? 元々、ATOMIC FLOYDに関して音の印象は高音質というより、ドンシャリ系の派手なチューニングという印象だ。実際に筆者はミドルクラスの「PowerJax +Remote」を所有しているが、低音と高音が強調されて中域はやや弱めだ。
それと比較すると「SuperDarts Titanium +Remote」は最上位モデルなので、当然音質はいいはずだ。実際にこれまでのATOMIC FLOYD製品と比較すると、低音と高音のパワフルさが少し抑えられ、よりバランスのいいチューニングになった印象だ。
メーカーのホームページの説明によると、「航空宇宙グレードのチタンを採用することで<中略>音響空間がかつてない広がりに。立体感のあるサウンドは、ここから生まれました。」と書かれている。つまり、航空宇宙グレードのチタンをハウジング素材に使ったことが、そのバランスの良いチューニングに大きく影響しているということだ。
実際に試聴に入ってみる。プレーヤーは手持ちのiPhoneを使用する。ポータブルアンプなども所有はしているが、ここではあえてイヤホンのみで試聴。通常のiTunesで購入したリスニング用の音源(AAC 128kbps)を使って聴く。
まずはJPOPから。アンジェラ・アキの名曲「手紙~拝啓 十五の君へ」。ボーカルの微かな息づかいや、歯切れの良いピアノサウンドなどは自然に耳へと流れ込んできて、聴いていても心地が良い。伸びのあるボーカルに含まれたエネルギーもしっかりと伝わってくる。
続いて、エレクトロな打ち込み系。サカナクションの「アルクアラウンド」。テンポの良いサウンドひとつひとつが粒やかなでキレも良い。元々のチューニングのせいかもしれないが、ややボーカルが遠めに聞こえ、どちらかというと周囲の音に埋没して聴こえるのがやや気になった。低音の力強さよりは高音の細やかさをしっかりと表現できている印象だ。
R&Bはビヨンセの「Crazy In Love」。リズミカルな低音はいつものATOMIC FLOYDのドンシャリではなく、やや上品めに抑えられた感じ。それでも楽曲の魅力である力強さはしっかりと伝わってくる。サビのダイナミックな盛り上がりも激しすぎず心地良く感じられ、全体的にはバランスの良いチューニングにまとまっている。
ロックはthe pillowsの「Comic Sonic」。いい意味で雑多というか、ギター、ベース、ドラムがそれぞれが折り重なって聴こえてきて、音の圧も十分。ライブ感を得られる。
一方、ミドルクラスの「PowerJax +Remote」でそれぞれの楽曲を聴いてみたところ、まず、音ひとつひとつに込められたパワーの伝わりが、「SuperDarts Titanium +Remote」は全然違うことがわかった。「PowerJax +Remote」と比較して、同じボリュームで聴いていても、音の圧が大きい。さらに、「PowerJax +Remote」は隣り合っている音がお互いに流れてしまい、繊細な部分をややかき消してしまっているのに対し、「SuperDarts Titanium +Remote」はそれぞれの音がきっちりと立っていて、メリハリも感じられた。また、高音や低音がやはりドンシャリで、長時間聴くにはやや疲れそうな「PowerJax +Remote」と比較すると、「SuperDarts Titanium +Remote」はより音に丸みがあり、耳に刺さらないため、快適に聴き続けられそうだ。
しかし、この2モデルの価格を比較すると、「PowerJax +Remote」は1万5000円前後であるのに対し、「SuperDarts Titanium +Remote」は4万6000円と、約3倍の差があるが、それだけの差があるかといえば、やや疑問が残ったのも否めない。
着脱式コードではないので、これ以上の音質アップをリケーブルなどで実現することはできない。ただ、ルックスの良さは、ATOMIC FLOYDの最上位機種として十分評価できるポイント。魅せるイヤホンとしてアクセサリ感覚で活用するならありではないだろうか。とはいえ、キャリングポーチはゴム製のチープなものではなく、もう少し気を使ってほしかった。
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