UPDATE ラスベガス発--NVIDIAが、ハイエンドなPC向けグラフィックスカード事業をモバイル分野にも生かそうと、自動車のダッシュボードに「Xbox One」並みの高画質をもたらすプロセッサを発表した。NVIDIAは米国時間1月4日、「International CES」において「Tegra X1」プロセッサを発表した。同社の最高経営責任者(CEO)Jen-Hsun Huang氏によると、同プロセッサは小型でスマートフォンや自動車向けに強力なパワーを発揮するという。最近では、自動車の運転支援システムやエンターテインメントシステムがPCやタブレットのように複雑化していることから、NVIDIAでは、このような車載システム向けのプロセッサで自動車市場に進出することを狙っている。
Huang氏はさらに、Tegra X1を利用した2種類の新しい自動車向けテクノロジを公開した。その1つ「DRIVE PX」プラットフォームは、高度な運転支援システムを自動運転システムへと一歩近づけるものだ。DRIVE PXは、車体の周りに取り付けたカメラやセンサを使って画像を1秒間に数十枚スキャンし、学習して、画像に写っているものの違いを見分ける能力を高めていくとHuang氏は説明する。このテクノロジは、衝突回避などの運転支援に役立つだけでなく、ゆくゆくは完全な自動運転を実現するとみられる。
Huang氏が披露したもう1つのテクノロジ「DRIVE CX」は、同じくTegra X1を利用して、高品質のグラフィックスやインフォテインメントディスプレイを車内で実現するものだという。Huang氏によると、まもなく自動車にはさらに多くのタッチスクリーンディスプレイが搭載されるようになり、NVIDIAでは、DRIVE CXを通じてそれらディスプレイに驚異的な高画質をもたらし、なおかつ3Dのナビゲーションマップをリアルタイムに生成できるテクノロジを提供したいという。
Tegra X1プロセッサは、NVIDIAのPC向けアーキテクチャ「Maxwell」を採用したグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を搭載し、1テラフロップス(浮動小数点演算を1秒間に1兆回実行する)の演算能力を有する。1兆回の演算を人間の脳で実行しようとすれば、1秒間に1回として3万1000年以上の時間が必要だ。NVIDIAにとって、Tegra X1はモバイル市場向けハイエンドグラフィックスプロセッサの第2弾となる。同社は2014年、Maxwellの前世代のアーキテクチャ「Kepler」を採用した「Tegra K1」プロセッサを発表している。
今回のTegra X1について、「この非常に小さな製品は、モバイル向けのスーパーチップだ」とHuang氏は述べている。同氏によると、Tegra X1は、2014年に発表したK1の2倍の性能を有し、Maxwellアーキテクチャを利用するすべてのアプリケーションを実行可能であるという。これにはハイエンドのPCや家庭用ゲーム機で動作するあらゆるゲームが含まれる。
その性能を披露するため、NVIDIAはEpic Gamesの「Unreal Engine 4」の技術デモ映像「Elemental」を、スマートフォン上でリアルタイムにレンダリングしてみせた。Epic Gamesは、写真のようにリアルな映像のゲーム制作に使用されるソフトウェアを手がける業界トップクラスのメーカーだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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