2014年、必聴ヘッドホン5選--インナーイヤータイプ編

※「2014年、必聴ヘッドホン5選--オーバーヘッドタイプ編」はこちら

 2014年に発表された気になるヘッドホンを紹介する。前回は必聴ヘッドホン5モデルのオーバーヘッドタイプ編としてヘッドホン5モデルを選んだが、今回は高機能モデルが出そろったインナーイヤータイプから選りすぐりの5モデルを見せる。

自社開発の強みをいかして開発された最上位機--ソニー「XBA-Z5」

  • 「XBA-Z5」

 ソニーのハイレゾへの取り組みは2014年も勢いを増すばかりだった。オーバーヘッド型のフラッグシップ「MDR-Z7」をはじめとし、ポータブルヘッドホンアンプのPHA-3、さらにグループ企業であるmoraからの積極的なハイレゾ配信まで、ハード面でもソフト面でもハイレゾ環境を整備している。

 「XBA-Z5」はインナーイヤーの最上位モデル。16mmのダイナミック型ドライバと、2基(フルレンジとスーパートゥイータ)のバランスドアーマチュア型ドライバによるハイブリッド構造。ダイナミック型ドライバの振動板は、液晶ポリマーフィルムにアルミニウムをコーティングしたもので、カラーレーションの少ないサウンドを狙っている。

 バランスドアーマチュア型ドライバは内部構造を見直し、入力信号に忠実な音の再生を目指した。これらにドライバを自社開発できるという同社の強みが現れている。ボディにはふんだんにマグネシウムを採用し剛性を高め、同時に小型化させることにも成功した。

目指したのは耳を振るわせるような低音--「SE-CX9」

  • 「SE-CX9」

 クラブのフロアで「体感」する音そのものを、ヘッドホンやイヤホンで創出する。そんな開発意図で誕生した「Superior Club Sound」 シリーズ。2014年で最もコンセプチュアルな製品群のひとつだ。先鋭的かつ洗練されたパイオニアらしいモデルである。ちなみに、秋に登場した「XPA-700」は音質やボディをカスタマイズできるポータブルヘッドホンアンプで、このイヤホンと通底する同社特有の発想であるように思えた。

 ドライバはフルレンジのバランスドアーマチュア型に、新開発の「BASS EXCITER」を搭載したハイブリッド構造を採用。のBASS EXCITERが振動し、さらにイヤチップの内側までをチャンバーとして使用。そのため低域が耳を振るわせるような感覚がもたらされる。一方で、中高域には適度な解像感があり、全体として大きな空間が広がってくる。低音重視とはいえ、下品にならないところにチューニングの上手さを感じた。それもパイオニアらしさといえよう。

タフなボディにオーソドックスなサウンドを備えた--Aurisonics「ROCKETS」

  • 「ROCKETS」

 2014年も海外から注目すべきブランドが初上陸を果たした。中でも米国のミキシングエンジニア、デール・ロット氏が立ち上げた「Aurisonics(オーリソニックス)」は、一際ユニークな存在だ。ラインアップは現在のところ3モデル。最上位機「ASG2.5-RED」は1基のダイナミック型と2基のバランスドアーマチュア型ドライバで構成される。本体に設けられたつまみで、低音の量を調整できる「Tuneable Bass port」も搭載。続く「ASG1PLUS-BLACK」はダイナミック型とバランスドアーマチュア型を各1基装備する。

 本機は5.1mm口径のダイナミック型が1基。チタンボディで、IP65相当の防水性能を誇っている。さらにケーブルにケブラーを用いることで引っ張っても断線しないほどの強度の高さも有している。また、自社開発だというイヤチップは耳穴の形状に合わせて変化し、遮音性は極めて高い。このように斬新なルックスやタフなボディだが、サウンドはオーソドックス。弦楽器やピアノをゆったりと聴かせる。

最新技術に裏打ちされたバランス良さ--JVC「HA-FXT200」

  • 「HA-FXT200」

 3年ほど前に世界初として登場した「ツインシステムユニット」。低域用と中高域用、各1基のダイナミック型ドライバを並列配置する構造だ。「HA-FXT200」はその進化版である「Hi-SPEEDツインシステムユニット」を搭載している。各ドライバのマグネットを3つにしレスポンスを高め、さらに中高域用の振動板にはチタンコート素材を採用。加えてドライバユニットを支える土台を真鍮にし、解像度の向上を図った。

 さらに「ツインバスポート構造」も採用。ボディの後方に2つのポートを設けて、ドライバから放たれる背圧を調整。ドライバユニットとともに巧みなチューニングがなされており、音の立ち上がりの高さ、中低域の躍動感を描き出している。ベースやアコースティックギターの輪郭も明瞭でプレイの抑揚がしっかりと聴き取れた。ピアノは全体域にわたってバランス良く聴かせてくれる。

日本のIEMの牽引する1台--カナルワークス「CW-L02」

  • 「CW-L02」

 ライブやステージ上のパフォーマー向けに開発されて来たカスタムインイヤーモニタ。ユーザーの耳型やサウンドの好み、聴きたい音などに合わせてオリジナル制作されるものだ。ところがここ数年、その発想を活用し、音楽リスニング用途として手がけるブランドが増えている。

 日本ではカナルワークスやフィットイヤーが牽引役といえるだろう。新製品も頻繁にリリースされ、着実にファンを増やしている。多くの場合、複数のドライバユニットを搭載し、それらのチューニングによって、製品のバリエーションを展開している。カナルワークスでは高域用に4基、中域と低域用に2基ずつという合計8基のバランスドアーマチュア型ドライバーをマウントした「CW-L71」も用意されている。しかし、新製品のCW-L02はフルレンジが1基のみ。カスタムだが、手の届きやすい価格設定も魅力的だ。サウンドはボーカル帯域の忠実な再生を主眼に置いているようだ。また、歌を中心として前後左右に程よい広がりも感じさせる。

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