松村太郎が振り返る2014年のモバイル業界--実につまらなかった1年 - (page 2)

──今年購入した端末で一番のお気に入りは。

 今年は、(私が)実につまらないことに、iPhone 6 Plusしか購入しなかったため、この端末以外挙げるものがない。スマートウォッチもタブレットも、購入しなかった。さらに言えば、パソコンもデジタルカメラも何もアップデートしなかった。その点から、デバイス面ではあまり変化のない1年だった──と振り返ることができる。もちろん、iPhone 6 Plusは唯一の買い物だったため、気に入っている。

 なるべくスマートフォンで済ませようという意識が強まってきており、ビデオ視聴もちょっとしたメモも、メッセージングも、読書も、iPhone 6 Plusで行うようになった。特に読書は、タブレットよりもデバイスが軽いことと、画面に書籍を表示すると、ちょうど文庫本の文字の領域と同じくらいのサイズになるため、読みやくなった。

 モバイルデバイスとして持ち歩くのもiPhone 6 Plusのみとなり、2013年の振り返り記事で最も気に入った、と答えたiPad mini Retinaディスプレイモデルは持ち歩かなくなった。

──今年よく使ったサービスやアプリは。逆に使わなくなったものがあれば教えて下さい。

よく使ったサービスやアプリ

 iPhone 6 Plusのカメラの性能は、iPhone 5sと比較しても大きく向上したと実感する。アウトカメラのフォーカスの速さはもちろん、インカメラのワンショットHDRも使用シーンを拡げてくれた。そのため、カメラ関連のアプリを多用している。ちなみに、iCloud Photo Libraryもスタートしたが、Macとの連携などができず、不完全な状態だ。無料で手軽な写真とビデオのバックアップ手段は依然としてGoogle+が一歩リードしている。

 以下、気に入っているカメラ系アプリを紹介する。

Instagram:写真加工の機能が大幅に向上し、より細かく自分の作品が作れるようになった。
Camera+:フルマニュアル操作が可能なカメラ
Horizon:常に水平を保ちながらビデオ撮影ができる。
Replay: 映像を解析しながらシーンに合わせたビデオ編集を自動化してくれる。
Aviary:Adobeに買収された写真編集アプリ。フィルターの豊富さが楽しい。
Google+:写真を撮影してアプリを起動しておけば、2048ピクセル以下、1080p以下の写真やビデオについては無料でバックアップが取れる。

使わなくなったアプリ:Facebook

 使わなくなったアプリはFacebookだが、Facebookを使わなくなったわけではない。少しニュースフィードを見るのが疲れてしまった部分もあり、またInstagramにハマっていることも手伝って、もともと少し足が遠のき気味になっている。そこにきて、非常に優秀な機能ごとのモバイルアプリのリリースと機能向上が続いた。

 ページ管理の「Page」、メッセージアプリ「Messenger」、そして筆者のチームで情報交換に多用しているグループの閲覧や書き込みができる「Facebook Groups」がリリースされており、どれもシンプルで使いやすい。Facebookの利用目的の大半をこれらの機能ごとのアプリでまかなえるため、FacebookアプリはiPhoneからそっと削除した。Facebookにとっては、実につまらないユーザーだろう。広告を目にするチャンスがなくなってしまったのだから。

──2014年はモバイル業界にとってどのような1年だったと考えていますか。

 モバイル経済圏の変転を見た1年だった。これまでモバイル経済圏というと、通信会社が主で、ここにAppleやGoogleなどのデバイスメーカー、プラットホーマーが加わり、Facebookなどの広告が好調なソーシャルメディアが加わり、また個別のアプリ開発者・企業が顔を並べるというエコシステムだった。この構造に変化を見出したのが2014年だったと思う。少しアプリ寄り、かつ米国内の視点になるが、ここ数年のUber、AirBnB、Yelp、Squareなどの登場と普及には、米国全体の景気低迷という背景があった。個人やスモールビジネス、ローカルビジネスを後押しするモバイルアプリ群であり、個人同士をモバイルと位置情報、そして個人に対する信頼の評価によってマッチングする仕組みとして共通項がある。

 それらは、職に困った人たちが手元のスマホを生活の糧にしている、そんな状況だった。例えば失職してプロのUberドライバーになった人に話を聞くと、毎月5000~6500ドルを稼ぐまでになり、職が見つかってもプロのドライバーを続けるという。また、サンフランシスコで開催されたハンドクラフトフェアに出かけると、全員がスマートフォンにSquareリーダを差し込んでカード決済を行っている。魅力は安い手数料だけでなく、店頭のレジ用に商品を登録するだけで、無料のオンラインショップを開設できる点だという。

 しかし現在、世界経済は米国一強で、力強く回復している。個人を力づけるモバイルの仕組みが加わった状態で経済が回復すると、これまでとは異質の、個人もドライブに参加する爆発的な景気が局所的に見られる可能性がある。新しいモバイル経済圏のインパクトを、2015年の米国に見いだせるだろう。

──2015年は「コレがくる」という端末やサービス、トレンドなどがあれば教えて下さい。

 つまらない回答で恐縮だが、Apple Watch。販売台数は手堅いところで、少なくとも最初の3カ月で500万台以上を見込むことができるはずだ。着せ替え用のバンドもサードパーティーからリリースされるだろうし、WatchKitを駆使したアプリも伸びていくことだろう。

 Appleが、現在Apple Payにしか利用を許可していないNFCを、いつ開発者に許可するのか。特にApple WatchのNFCは、非常に面白い使い方が期待できるのではないか。こうした飛び道具がなく、iPhoneとしか連携できないのでは、実に──とは言わないまでも、つまらない時計の域を超えられないかもしれない。

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