本田雅一が振り返る2014年のモバイル業界--iPhone 6空前の大ヒットと熱狂時代の終焉

 スマートデバイスの普及が進み、あらゆるビジネスの主戦場となりつつあるモバイル領域。2014年もさまざまなニュースが世間を賑わせましたが、モバイル業界に精通するジャーナリストの皆さんはどのような点に注目したのでしょうか。今回は本田雅一さんに、今年注目したモバイルニュースや、スマートデバイス、アプリなどを聞きました。

──2014年のモバイルニュースを3つ選ぶとしたら何ですか。

iPhone 6空前の大ヒットと熱狂時代の終焉

 2年ぶりのフルモデルチェンジとなったiPhone 6は空前の大ヒット。扱うキャリアもこれ以上ないほどに増え、サイズバリエーションも増加した。バッテリ持続時間やパフォーマンスなど、かつてないほど完成度が高まった上、選択肢が広がったのだから、売れるのは当然。今後もiPhoneは売れ続けるだろう。

 もっとも、かつてのように「iPhoneのフルモデルチェンジ=新たな時代の幕開け」といった、イノベーティブな製品を期待する時代は終わった。あくまでも「より良いiPhone」であり、その時代で選ばれるにふさわしいiPhoneでしかない。iPhone 6は、とてもよく練り上げられた製品ではあるが、一方で、熱狂時代の終焉を感じざるを得ない。

パナソニックLUMIX CM1発表

 これは個人的な趣味。プレミアムクラスのコンパクトカメラとスマートフォンを一体化した製品だ。その中身はスマートフォン向けのシステムLSIでAndroidを動かしつつ、カメラ用に開発されたシステムLSIを同時搭載。Androidアプリ上でカメラ機能を操作しつつ、実際には1インチCMOSセンサ+Vinusエンジンの高画質処理で撮影されるという、なかなかアクロバチックな作りの製品となっている。

 僕の場合、スマートフォン利用の起点として”写真撮影”がある。旅行先の風景や美しい盛りつけの料理など、その時々、心に刻まれた瞬間を写真で表現したい。そんなとき、いかにもスマートフォン的な写真ではなく、自分自身の意図を反映した写真で誰かに伝えたいのだ。もっとも、日本では未発売。噂では2015年春にも日本市場投入とか?期待したいところだ。

中国新興メーカーの急伸

 シャオミ、レノボなど、中国メーカーのスマートフォンが、中国国内限定とはいえ、すさまじい勢いで売れ始めたのが2014年だ。2013年からその予兆はあったものの、2013年前半までは誰もその名前を知らなかったシャオミが、中国における販売数でサムスンを上回ると予想した人はいなかったはず。

 現時点では中国国内での話だが、中国はスマートフォンの生産地であるとともに、最大の消費地でもある。世界で販売されるスマートフォンの全台数中、37%は中国で売れているのだ。

 たくさん作れば、それだけコストも下がり、また生産、ソフトウェア開発などでも力を付けていくものだ。わずか1年にして急成長した中国スマートフォンメーカーは、これからの1年でアジア地区や東欧にも攻め入る可能性がある。

 そうなれば、必然的に従来のスマートフォンメーカーは高付加価値端末に注力せざるを得なくなり、ローエンド端末を中国に奪われる中で競争力を強化するため、メーカーの統合が進むのではないだろうか。予想を超える新興メーカーの伸張は、予想を超える市場ルールの変化をもたらすかもしれない。

 一方で、中国メーカーの急伸にはブレーキがかかるとの見方も強い。シャオミは中国での勢いをそのままに、インドでも販売を開始していた。圧倒的な価格競争力でこの市場も支配すると思いきや、特許侵害で訴えられて販売停止命令を受けている。

 この特許侵害裁判はスウェーデンのエリクソンが起こしたものだが、特許の塊でもあるスマートフォンだけに今後もシャオミを訴えるテクノロジ企業が増えると見られる。インドの事例では2月5日まで販売が停止された。今後、インドだけでなく幅広くグローバル市場に乗り込むならば、必須特許のライセンスを受ける必要がある。

 中国新興メーカーが先進国市場の乗り込めるのか、特許の壁に跳ね返されるのか。業界内では後者の見方が強い。これは2015年における注目点のひとつとなるかもしれない。

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