起業時には人材、資金以外にも悩みは尽きない。事務作業やオフィスの確保など、プロダクト以外の部分でもさまざまな課題がある。
亀井氏は創業当初は、北米のインキュベーション施設に入居していた。日本に帰国する少し前に代官山蔦屋書店がオープンし、そこで仕事をすればいいと考えていたそうだが、実際に行ってみたところ、混雑していたためリモートで仕事をするようになる。「結局、リモートでは仕事がなかなか進まないし、熱量がキープできないため直接会う必要があった」と、亀井氏は創業時にリモートで仕事をすることの難しさを振り返る。結局、Tokyo Otaku Modeは格安でオフィスを貸してもらえることになり、そこに入居したという。
武田氏は創業当時赤坂にオフィスを構え、4階の部屋をオフィスにして働き、3階の部屋に住むという生活を送っていた。男2人で、5畳半の部屋でずっと仕事をする状態を続けていたそうだ。
リモートで仕事が可能な環境が整ってきたとはいえ、創業間もないスタートアップにとって、直接顔を合わせて開発する時間は貴重なもの。そのためにも、オフィスは構えたほうがいいだろう。
スタートアップは資金調達を繰り返しながら、事業を成長させていく。よく聞く話が資金繰りで困難に陥った、というものだ。亀井氏は、最近でも資金繰りのピンチがあったことを明かした。Tokyo Otaku Modeは現在、コマースサービスを提供している。そのため、商品を仕入れる必要があり、先にお金が出ていく状態。損失機会を低くしつつ、売上の数字の立て方を考えながら事業を成長させてきたそうだ。資金調達のタイミングがわかっているのであれば、そこまでの期間資金をもたせるために借り入れなどは検討していた、と亀井氏は語った。
一方のRettyはCGMサービスであるため、仕入れなどは必要ない。ただ、CGM系のサービスは立ち上がりに時間がかかる。Rettyもユーザー数が伸び始めるまでには2年半かかったと武田氏は語る。ユーザー数がある程度の規模になるまでは、ただひたすらお金が減っていく状態。過去2回ほどキャッシュアウトのピンチがあったという。「サイバーエージェント・ベンチャーズから出資を受けたときは残金10万ほどだったし、GREE Venturesから出資を受けた時もギリギリだった」(武田氏)と笑いながら振り返った。資金調達は慣れるまでに時間がかかるため、最初の数回は資金繰りが危うくなってしまうこともあるとした。
亀井氏と武田氏は、この他にも現場の仕事を人に渡していくマネジメントの難しさなどについても語った。会社を立ち上げたタイミングの苦労話を聞けるのはとても貴重なことだ。こうした内容のセッションが将来、起業を検討している方の参考になれば幸いだ。
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