約180万ユーザーを抱える自動家計簿アプリ「マネーフォワード」や中小企業向けのクラウド会計サービス「MF クラウド」を提供するマネーフォワードは12月19日、総額約15億円の資金を調達することに合意したと発表した。これらの資金は、優秀な人材の確保やプロモーションに充てるとしている。
引受先には、2013年10月にも同社に5億円を出資したジャフコ、クレディセゾン、ソースネクスト、三井住友海上キャピタル、電通デジタル・ホールディングス、GMO VenturePartnersなどが名を連ねる。今回が2度目の出資となるジャフコからはこれまで、マネーフォワードの経営体制の強化や、ジャフコが有する顧客や提携先の紹介などの支援を受けてきた。
クレディセゾンとは2014年5月に業務提携しており、セゾン・UCカード会員限定で利用明細データを家計簿サービスに自動保存する取り組みなどを実施している。今後は、個人向け事業での連携を強めるほか、法人向けでもクレディセゾンが持つ中小企業顧客基盤を活用して、「MF クラウド請求書」とクレディセゾンのカード決済の連携、「MF クラウド会計」ユーザーへの金融商品の開発などを進めていく。
ソースネクストとは、同社を介してNTTドコモのスマートフォン向け「スゴ得コンテンツ」、KDDIの「au スマートパス」、そして「アプリ超ホーダイ」に、家計簿アプリを提供してきた。法人向けではソースネクストが有する全国の家電量販店チャネルを生かして、「MF クラウド会計」と「MF クラウド確定申告」のパッケージ版を販売するなどしてきた。この協業をさらに強めていく考え。
三井住友海上キャピタル、電通デジタル・ホールディングス、GMO VenturePartnersからは、各社の持つ顧客基盤や、ノウハウなどを生かした支援を受けるとしている。
同じくクラウド会計サービスを提供する「freee」も総額14億円以上の出資を受けるなど、2014年は特に目覚ましい成長を遂げたクラウド会計領域。マネーフォワードの法人向けサービスの取扱高は70億円規模まで拡大しているという。同社経営企画室 財務部長の金坂直哉氏は、「日本企業もあらゆる分野で積極的にクラウドを活用するフェーズに入った」と説明する。
「あの会計パッケージソフト大手の弥生が買収されてしまったことからも、企業がクラウド会計へ移行していくのは間違いない。会計基準なども政策によって変わっていくため、その都度パッケージソフトをアップデートするのは効率的ではない。やはり、タイムリーに反映させる観点からもクラウドである必要がある」(金坂氏)。
こうしたクラウド会計への需要の高まりに応えるため、同社ではこの1年、人材の確保に力を注いできた。2014年1月時点では15人だった従業員は、2015年1月には内定者も含めると約60人まで拡大する予定。なんと1年で4倍に急増していることになる。それでも人手が足りないことから、調達した資金を投入し、引き続き優秀な人材の確保を進めるという。
また、プロモーションやマーケティングにも注力する。ただし「他社のように大々的にテレビCMを放映するといったことではなく、B to Bのイベントやセミナーの開催などによって、サービスの魅力を伝えたり理解度を深めていきたい」(金坂氏)としている。
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