一方、IP Bridgeの吉井重治氏は特許などの知財をめぐるグローバルな動きについて、「知財が流動的な金融商品と化している」「自前主義からオープンイノベーションへの転換が進んでいる」という2つのポイントを紹介した。
従来は製品を生み出すために不可分なものであった特許だが、最近はその資産価値に投資家が関心を示し、金融商品として取引の対象になっているという。また、知財を取引するオークション市場が活況であることなどから、吉井氏は「特許は事業化されてナンボの世界、というだけでは日本は世界から取り残されてしまう」と指摘する。
企業のバランスシートに載ることのない特許などの知財は、企業にとって重要な資産ではあるものの、担当者は保有する知財の金銭的な価値を把握できていないことが多い。しかし、実際には特許などの資産には高い金銭的価値を持つものも多く、知財の価値判断をしないことによって、誤った経営判断や資産評価をしてしまう場合もあるのだという。
吉井氏は、米国S&P500企業の総資産に占める知財の割合が8割を超える現状を挙げた上で、「経営者は知財が重要な含み資産であるという認識を持ち、どうやって資本として活用するかを考える必要がある。自分たちがどういう知財を持ち、それにどのような価値があるのかを把握して投資家へのアピール材料にすべきだ」と語った。
また吉井氏は、かつては製品を開発するためには自分たちで特許技術を作り出さなければならなかったが、最近では他の企業が持つ特許のライセンス供与を受けて新製品を開発するオープンイノベーションが加速していると指摘。「かつては特許の数が企業の強さ=製品開発力を表していたが、今はいかにして自社・他社の技術を組み合わせてエコシステムを生み出せるかが問われている」と語った。
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